さて、今日のタイトルの質問もインスタで皆さんに問いかけてみたものでした。
一応リールでその答えを作ったのですが、全然1分半では伝えきれず、、、
なので、
今日は、そのことをニュースレターでお伝えしたいと思います。
「がん細胞が酸化した体にしかできない」という考え方は、
ある程度の根拠がありますが、完全な説明ではありません。
「癌は糖が好きだから、糖を避けよう!!!」って本当によく聞く説ですよね。
今日は、そのことを検証したいと思います。
酸化ストレスや慢性的な酸化ダメージがDNAを損傷し、がんのリスクを高める。
それは、その通りですね。
【酸化ストレス状態】って、フリーラジカルや活性酸素が細胞を攻撃し、 体内の抗酸化システムがこれを制御しきれない状態です。
これ、「酸化」って言葉がでているから、酸性とかアルカリ性とかの【酸】とごっちゃになっている人がいるのだけど、
酸化ストレスの「酸化」は、酸性・アルカリ性の「酸」とは異なる概念です。
酸化ストレスにおける「酸化」は、化学反応の一部で、細胞内で電子が失われることを指します。
【酸化ストレス状態】とは、つまり、細胞のミトコンドリアで電子漏れが起こっている状態で、これによりフリーラジカルや活性酸素種(ROS)が過剰に生成されます。
でも、癌状態の時は、酸化ストレスと還元ストレスとが混在しているっていうのが、実は起こっていることでもあります。
細胞での代謝がうまく行っている時は、ミトコンドリアは酸素を効率よく使い、電子伝達系でATPを生成しますが、
電子が漏れ出すと酸素と反応してROSを形成してしまい、細胞に酸化的ダメージを与えます。
で、ですね、、、
確かに、癌細胞と言われる細胞状態の時、
(そう表現するのは、【癌細胞】というものはなくって、
細胞がストレス状態で分裂が止まらない【癌と言われる状態になっている】だけだから。)
代謝が細胞基質で行われる解糖系でのみ行われて、ミトコンドリアの中にまで移行しない事、それをワーグナー効果というのですが、それが起こってしまっているのです。
普通は酸素がないときだけ、ミトコンドリアでの呼吸がうまくいかないのに、癌状態の時には、酸素があっても、ミトコンドリアでの糖代謝が進みません。
なので、がん細胞は通常、解糖系で、エネルギーを生成します。
その結果、乳酸が大量に生成され、細胞周囲のpHが低下して酸性になるのです。 なのでですね、つまり、細胞基質でのみのエネルギー生産が行われた結果としてでてくるのが、【乳酸】なのです。
そう、乳酸は酸性ですね。
これは、酸性とアルカリ性の酸性。
つまり、癌細胞状態の細胞まわりは乳酸が溜まって酸性状態になっています。
この、乳酸が溜まると、益々ミトコンドリア代謝が行えなくなるので、悪循環が続くのですが、 でも、酸性細胞だからガンが出来たわけではなく、 ガンという代謝疾患が進んでしまった状態の細胞は酸性になっている、という流れなのです。
で、プロメタボリックアプローチではガンというのは代謝疾患だ、 とお伝えしているのですが、常々お伝えしているように、代謝を上げてくれるのに、【糖】は必須でしたよね。
では、タイトルの後半、「体を酸化させるものの代表は砂糖だ」というのはどういう事でしょう?
本当なのでしょうか?
先ほど伝えたように、 癌細胞は細胞代謝がうまく行えなくなった結果、癌細胞状態になっていて、 その状態とは、ミトコンドリアで電子漏れが起こってて、酸化ストレス状態であり、細胞基質でしかエネルギー代謝が行えず、
それ故、乳酸が溜まって酸性になっている、ということでしたよね。
それと、「砂糖が体を酸化させる」ということは繋がる話なのかどうか、ですよね。
でね、これ、もう言っちゃうと、 砂糖は体を酸化させません。
それに、砂糖を摂取したって体は酸性に傾きません。
砂糖自体は、エネルギー供給源として体内で使われ、 代謝過程で酸や塩基のバランスに大きな変化を与えるわけではありません。
酸性とアルカリ性のバランスは、体全体の代謝状態や臓器による調整が大きな役割を果たすため、 糖の摂取だけで体がすぐに酸性に傾くこともありません。
なので、この砂糖が体を酸性に傾ける説って、砂糖がガンの原因だ、 という説から来てると思うのですが、砂糖はガンの原因なのでしょうか?
ここで思い出してほしいのですが、細胞がエネルギーを作り出すために使う栄養は、 糖質、脂質、タンパク質、と3種類あるのですが、そのうち、一番体にとってよりベストな栄養が糖質なのです。
もちろん脂質もタンパク質も使えます。(赤血球など、絶対糖質しか使えない細胞もありますが)
でも、脂質やタンパク質を燃料にして細胞のエネルギーであるATPを作り出している時は、体は糖が無いなどの理由で、糖を使えないから、
それら、タンパク質や脂質という栄養素をエネルギーとして使う、という状態なのです。 脂質やタンパク質の役割の基本は体を構成する材料になることです。
そして、最初にちらりと書いたように、癌細胞って、単に増殖が止まらない状態の細胞であって、
【癌細胞】という概念はちょっと違います、って書きました。
そうなんです。
それらは超ストレス状態で増殖シグナルが止まらなくって、増殖し続けている細胞であって、普通の細胞なのです。
そう、細胞のベストな栄養はなんでしたか?糖でしたよね。
だから、癌細胞だから糖を餌にしている訳ではなく、細胞はすべて糖が好きなだけです。
でね、この増殖が止まらないくらいストレス状態な細胞(ガン状態の細胞)は、 糖とともに、脂肪をエネルギー源として使うのが好きなのです。
そう、脂肪で莫大なエネルギーを生み出して増殖するのです。
がん細胞が脂肪酸のβ酸化を利用してエネルギーを供給するメカニズムには、 ミトコンドリアの一部機能が関わっています。
通常の糖をミトコンドリアで完全に代謝していく行程、酸化的リン酸化が抑制されている場合でも、
ミトコンドリアは脂肪酸をβ酸化するための酵素を利用し、アセチルCoAを生成します。
このアセチルCoAが、TCAサイクル(クエン酸回路)に部分的に入り、エネルギーを供給します。
つまり、がん細胞はミトコンドリアを完全にシャットダウンせずに、 一部の機能を維持し、脂肪酸酸化からのATP生成を続けるのです。
がん細胞は、この代謝柔軟性によって、特に低酸素状態やストレス下で脂肪酸酸化を有効に活用し、エネルギーを得ることができるんですね。
つまり、【糖】 を順調に代謝している状態はすべての細胞が好きな状態です。 ガン状態になってくると、脂肪も好んで使い始める、ということなのです。
糖を避けることが癌という代謝病を見ても、ナンセンスだって少しは分かってもらったでしょうか?
(え・むずかしいって??)
また、凝りずに伝えていきますね!
なにか参考になったら嬉しいです!