おさえておきたいことがあります。それはまず、
- 脳にとって「ブドウ糖」は酸素と同じということ。
なぜ血糖値が下がると、人はこれほどまでに具合が悪くなるのでしょうか?
それは、『脳が活動するためのエネルギー源が、ほぼブドウ糖(グルコース)だけだから』です。
バーンズ博士は、脳にとってのブドウ糖を「酸素」に例えています。
高度飛行の訓練中、酸素マスクを外すとパイロットは30秒以内に意識を失います。
それと同様に、脳へのブドウ糖供給が遮断されれば、私たちは意識を保てなくなります。
幸い、通常は酸素のように「突然ゼロになる」ことはないのですが、血糖値が徐々に下がるにつれて、脳の機能は低下し、様々な不快な症状が現れてしまうのです。
- 人格が変わるほどの「空腹」
バーンズ博士は医学生時代、授業の一環としてインスリン注射を受けます(そんな授業って!)、人工的に低血糖状態になる実験を行いました。 その時の体験をこう記しています。
「私はすぐに衰弱し、神経質になり、猛烈な空腹感に襲われた。 揚げたドアノブ(fried doorknob)でさえ食べられそうだった」と。 (ドアノブを食べるって表現は伝わりにくい〜って突っ込みそうだったけど、それはさておき、)
さらに衝撃的だったのは、温厚だったクラスメートの人格変貌だったそう。
彼は低血糖状態になると突然、攻撃的で理性を失い、治療用のオレンジジュースを飲むことさえ拒否して暴れたとのこと。
しかし、静脈にブドウ糖を注射された瞬間、その彼は「数秒のうちに正気に戻り、元の陽気で協力的な青年に戻った」らしいのです!
これが意味するのは、「キレやすい」「不安で仕方がない」といった精神的な問題が、実は単なるエネルギー切れ(低血糖)である可能性が高いということです。
そして、なんと!
- 真犯人は「膵臓」ではなく「肝臓」?
一般的に、低血糖症はインスリンを出す「膵臓」の問題(インスリンの出しすぎ)だと思われがち。
しかし、バーンズ博士は「肝臓」こそが血糖値維持の主役であると指摘します。
私たちの体には、食事をしていない間も血糖値を一定に保つための精巧なメカニズムがあります。
- 食事中: 血液中の余分な糖分は、インスリンの働きで「グリコーゲン」として肝臓に蓄えられます。
- 空腹時: 血糖値が下がり始めると、肝臓は蓄えていたグリコーゲンを再びブドウ糖に戻して血液中に放出します。
さらに、蓄えが尽きても、肝臓はタンパク質や脂肪から新しいブドウ糖を作り出す(糖新生)ことができます。
つまり、健康な肝臓を持っていれば、数時間食事をしなくても、肝臓が自動的に燃料を補給してくれるため、震えたりイライラしたりすることはないのです。
低血糖症の症状が出るということは、必要な時に肝臓がブドウ糖をうまく放出できていない(=肝臓の働きが鈍っている)というサインなのです。
では、なぜ肝臓は仕事をサボり、あなたを低血糖の苦しみに合わせるのでしょうか?
お酒の飲み過ぎ? 肝炎? いいえ、多くの人にとって原因はもっと意外な場所にあります。 それは「甲状腺」です。
次回、バーンズ博士が発見した「低血糖症の根本原因=甲状腺機能低下」という驚きの事実と、そのメカニズムについてシェアしていこうと思っています!
