これは「ある言葉」から考えさせられた、脳のエネルギーと心のあり方についてのお話です。
実は、もうすぐ中学生になる娘の制服を、遅ればせながら町のお店に受け取りに行った時のこと。
1. 「フレネミー」という言葉の鋭さ
町の小さなお洋服屋さん。そこは、地域のご年輩の方々の「たまり場」のようにもなっていました。
私と娘が制服を受け取りに行くと、お店の方と二人の女性が奥の方でお茶を囲んでお話しされていて。
私たちはその方々の目の前で店員さんとやり取りをすることになったのですが、最初、お一人の女性が「こんな若い子が、この店に何の用かしら?」と、なんとも怪訝そうな、冷ややかな視線を送ってきたのです。
やり取りが進み、中学校の制服を引き取りに来たのだと気づくと、
「あら、中学生になるとね?」と娘に話しかけられました。
娘が「はい…」と答えると、
「そんな風には見えんねえ(笑)」と一言。
娘は苦笑いするしかありません。
「お会計、85,050円です」と店員さんに言われ、お支払いをしていると、さらに追い打ちをかけるようにその女性が言いました。
「あんた、大きくなったら、しっかり稼いで、親に返さんばよ!」
その時点で娘はもう、その方の方を見ることなく、返事もしない状態になっていました(笑)
お店を出た後、娘がポロンとこぼした言葉が印象的でした。
「私、ついこの前、もうランドセル背負っているのが不自然なくらい(大きく)なったね!っておばあちゃんに言われたのに、今日は中学生に見えん、って言われた(涙)」
「ああいう人は、どんなことでもマイナスにしか言わないから、あなたがどうこうじゃないよ」となだめていると、娘が一言。
「それ……『フレネミー』やな」
フレネミー(Frenemy)。
「フレンド(友達)」と「エネミー(敵)」を組み合わせた造語だそうです。
「友達のふりをして近づいてくる敵」、あるいは「親しげに接しながら、チクリと攻撃してくる人」。
なるほど、現代の子供たちはそんな言葉で現象を捉えているのかと、その表現の鋭さに感心してしまいました。
2. 「不足感」の正体は、脳のエネルギー不足
なぜ、わざわざ他人の子供に対して、釘を刺したり、喜びを削ぐようなことを言ってしまうのでしょうか。
私は、その方の「心の状態」というよりも、根本的な「脳のエネルギーの枯渇」が原因だと思っています。
私たちの脳は、全身の中でも最もエネルギー(糖)を消費する臓器です。
そして、他者を思いやったり、未来をポジティブに捉えたり、広い視点を持つためには、相当な「脳のエネルギー量」を必要とします。
もし、脳のエネルギー代謝がスムーズに回っていなければどうなるでしょうか。
脳は「非常事態」だと判断し、まずは自分を守るために防衛本能を強めます。
視野は狭くなり、他人の幸せや成長を素直に喜ぶ「余裕」が失われます。
すると、自分自身の内側に「足りない」「満たされない」という【不足感】が慢性的に居座ることになります。
その不足感を埋めるために、自分よりもエネルギーに満ちた若い世代に対して「ダメ出し」をしたり、「批判」をしたりすることで、無意識にバランスを取ろうとしてしまうのです。
つまり、トゲのある一言は、その人の心の底にある「私は満たされていない」というSOSの裏返しでもあるのですね。
3. 丁寧に「交わらない場所」へ下がる
そんな「フレネミー」的な振る舞いに出会うと、どうしても残念な気持ちになったり、心がさざなみ立ったりするものです。
でも、こちらができる最善の策は、戦うことでも、相手を変えようとすることでもありません。
丁寧に、そっと、その方と「交わらない場所」へ下がること。
相手の言葉を自分の価値として受け取る必要はありません。
「ああ、この方は今、脳のエネルギーが足りなくて、世界が不足して見えているのだな」
そう客観的に捉えるだけで、自分を守るための境界線を引くことができます。
そして何より大切なのは、私たちは自分の脳と体に、たっぷりとエネルギー(糖)を満たしてあげること。
自分が満たされていれば、誰かに何かを言われても「そういうこともあるよね」と流せるし、他人の成長を「素晴らしいね」と心の底から応援できるようになります。
もうすぐ中学生になる娘には、
「世界にはいろんな視点の人がいるけれど、まずは美味しいものを食べて、自分のエネルギーをしっかり満たしておこうね」
そんな風に伝えた一日でした。
あなたの周りにも、もしチクリと言ってくる「フレネミー」が現れたら、それは相手のエネルギー問題。
ぜひ、甘い蜂蜜入りの紅茶でも飲んで、自分のエネルギーを優先してチャージしてあげてくださいね。
この記事は、石井恵子のニュースレターでお届けした内容をもとにしています。
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