計算が速くなるのは頭の良さではない|脳はくり返しを「パターン」にしてエネルギーを節約している

小2の娘が、繰り上がりのある足し算で、ずっともたついていた時期がありました。

8たす5。5たす8。

答えは出るのです。でも、頭の中でゆっくりゆっくり考えてから、やっと出てくる。

そこで、計算の練習アプリを作りました。

計算カードでもよかったのですが、スマホなら、いつでもパッと渡して「はい、ちょっと練習どうぞ〜」ができるので。

何秒かかったかが出て、間違えたら「ブブー」、合っていたら「ピンポン」。

それだけのアプリです。

娘はせっせっせっせと、ちょこちょこ練習するようになりました。

最初は40問に5分かかっていたのが、3分台になり、やがて1分台に。

この「必ず速くなる」ことの裏で、脳が何をしているのかの話です。

そしてそれは、計算だけの話ではありません。

手順で解く脳、取り出して答える脳

最初の娘の頭の中は、たぶん、こうです。

「8に2を足したら10。5から2を取ったら、あと3。だから….13」

ひとつひとつ手順を踏んで、やっと13にたどり着く。

それを何度も何度もくり返していくうちに、「8たす5」は、もう13以外に見えなくなります。

考えるより先に、答えのほうが出てくる。

毎日同じ道を車で通っていると、ほとんど何も考えずに職場まで着いてしまうのと、同じことですね。

この変化を、脳の画像で追いかけた研究があります。

2014年に『Nature Neuroscience』に出た、スタンフォード大学のグループの研究です(Qin et al., 2014)。

7〜9歳の子どもたちを、時間をあけて何度もMRIで調べ、算数を解いているときの脳の働きを追いかけました。

子どもたちの解き方は、成長とともに、「数えて解く」やり方から、「記憶から答えを取り出す」やり方へと移っていきます。

その移り変わりにあわせて、記憶に関わる海馬の働きが増え、手順を一つずつ組み立てるときに使う前頭葉・頭頂葉の働きは減っていった。

研究者たちは、この海馬の働きが、子どもの認知の発達の大きな節目——手順で解く段階から、記憶で解く段階への移行——の要になっている、とまとめています。

それどういうことかというと、

娘の「8たす5」が13にしか見えなくなったとき、娘の脳の中では、使う場所そのものが入れ替わっているのです。

毎回ゼロから組み立てていた作業が、「取り出すだけ」の作業に置き換わった。

なぜ脳は、パターンにしたがるのか

ここで、私がいちばん大事だと思っていることがあります。

脳が、くり返したことをどんどんパターンにしていくのは、エネルギーの無駄遣いを減らすための作戦だ、ということです。

脳は、体重の数パーセントしかない臓器なのに、体全体のエネルギーのかなりの部分を使っています。

そんな大食いの臓器が、同じ問題を毎回ゼロから手順を踏んで解いていたら、とても燃費が悪い。

一度パターンにしてしまえば、同じ答えを、ずっと少ない手間で出せる。

だから脳は、パターンにできることは、なんでもパターンにしていきます。

勉強はある意味、「いかにくり返させるか」の勝負です。

頭がいい、悪いの問題ではない。

くり返せば、必ずそうなる。

それが脳の仕組みなので、娘にもそのまま話しています。

「頭がいいとか悪いとかじゃないよ」

「やっていたら、必ずそうなるよ」

「それが、脳の仕組みなんだよ」

いつの間にか、「何たす何は?」と聞かれたら、スッと答えが出るようになって。

瞬時に答えられることが、本人もやっぱり面白かったらしく、とても楽しそうでした。

できるようになることは、それ自体が楽しい。

これも、見ていて面白いところでした。

ただし、パターンを作るのにもエネルギーが要る

ひとつだけ、見落とされやすいことがあります。

パターンを作る作業そのものにも、エネルギーは要る、ということです。

パターンができあがってしまえば、その後はずっと省エネで回る。

でも、そこにたどり着くまでの「くり返し」の期間は、脳にとって、むしろエネルギーを使う時期です。

だから、脳に栄養が足りていない状態でいくら練習しても、パターンになるのが遅い。

同じだけ練習しているのに、覚えられる子と、なかなか覚えられない子がいる。

それを「頭の良し悪し」で片づけてしまう前に、その子の脳に、パターンを作る余力があるかどうかを見てあげたいのです。

しっかり栄養をとらせた上で、くり返させてあげる。

順番は、こちらです。

大人も同じです。

私自身、英語で行われている脳機能の講義を、自分の理解に落とし込むために、自分用の教材を作っています。

入り組んだ内容を、くり返し聞いて、くり返し訳して、やっと自分の言葉で説明できるようになる。

大人になっても、くり返しでしか身につかないのは、変わりません。

パターンにしてほしくないものまで、脳はパターンにする

脳は、パターンにできることは、なんでもパターンにしてしまいます。

計算のように、パターンにしてほしいものだけではなく。

パターンにしてほしくないものも。

たとえば、

あの人がこう言ったら、それはきっと、こういう意味。

チラッと見られたら、「どうせ私のこと、変なやつだと思ってるんでしょ」。

こういう嫌な気持ちは、「その場で考えて出した結論」のように感じますよね。

でも実際には、脳の「予測」の結果として、先に生まれてきています。

8たす5が、考えなくても13に見えるのと同じように、

チラッと見られただけで、考えるより先に「きっと嫌われている」が出てきてしまう。

脳にとっては、どちらも同じ「省エネの自動処理」なのです。

それって、生きていく上で、とても生きづらいですよね。

なんというか、愛のない世界です。

本当は、そうではないことが、真実かもしれない。

相手はただ、ぼんやりこちらを見ていただけかもしれない。

でも、自分の脳がそうパターン化してしまっていたら、もうそれが真実だとしか思えないのです。

セッションのあとで、また同じ考えに戻る理由

だから、書き換えが必要になります。

カウンセリングやセッションで「こう捉え直してみましょう」と話して、その場ではとてもいい気持ちになった。

新しい見方が、ちゃんと腑に落ちた気がした。

でも、日常に戻って数日すると、やっぱりまた同じ考え方に落ちていく….。

そういう経験をされた方は、多いと思います。

どうして、パターンが外れないのか。

私は、書き換えるためのエネルギーが、脳に足りていないことが多いのだと見ています。

パターンを作るのには、エネルギーが要る。

できあがったパターンを外して、新しく作り直すのにも、同じようにエネルギーが要ります。

しかも、古いパターンは、省エネで勝手に回ってくれる。

エネルギーが足りない脳にとっては、慣れた古い道のほうが、ずっと楽なのです。

これは、意志の弱さではありません。

燃料の足りない脳が、いちばん燃費のいい道を選んでいるだけなのですね。

エネルギーが届くと、脳は自分から軌道修正する

逆に言えば、

脳にしっかりエネルギーが届いていると、脳は、新しい受け取り方——捉え直した言葉や出来事、本来の自分に合っていること——のほうへ、自分から軌道修正していこうとします。

新しいパターンを作る余力があるからです。

体の不調であっても。

心のクセであっても。

根っこにあるのは、やっぱり脳のエネルギーなのだな〜と、娘の計算を横で見ながら、改めて思いました。

あなたの脳が、いつの間にかパターンにしてしまっている「きっとこういう意味」は、何でしょう。

それは、本当に真実でしょうか。

それとも、燃費のいい、慣れた道なだけでしょうか。

参考文献
Qin S, Cho S, Chen T, Rosenberg-Lee M, Geary DC, Menon V. Hippocampal-neocortical functional reorganization underlies children’s cognitive development. Nature Neuroscience. 2014;17(9):1263-1269.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25129076/


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「水漏れ」事件の続編。理由がわかれば破壊工事ですら安心に変わる。体の変化も同じです

ローザンヌの宿で起きた「水漏れ」事件の続きをお話しさせてください。
(実はさらなるハプニングが……笑)

その翌日は、夫が仕事で出かける日でした。
午前中に夫を送り出し、私は子どもと近くの大聖堂に歩いていったり、買い物したりしようと思っていたのですが、その後、少し経ってから、またドアをドンドンドン!とノックする音。

少しドキドキしながら「はろー?」と声をかけると、
「昨日の水漏れのことで、下の住人から頼まれて様子を見に来たものです!」
との男性の声。

恐る恐るドアを開けると、男の人が二人立っていました。

前の晩に水漏れがあったことを理解している様子で、その原因がどこにあるのかを私の部屋のバスルームから調べさせて欲しいとのことでした。

男性二人を女子供しかいない場所に入れても大丈夫かな?という思いも一瞬浮かんだのですが、ちゃんと状況をわかっている人たちで、確かにその事を解決しにきたんだろうな、と思い直し、家に入れることに。

二人のうち、一人はフランス語しか話せず、私が状況を伝えても「わからない!」ってジェスチャーで伝えてくるだけだったのですが、一人はわかりやすい英語を話してくれる方で、

今がどういう状況なのか、
今後、何が起きるのか、

など、丁寧に説明しながらことを進めてくれて、安心することが出来ました。

私の心配ポイントは、「そのビルの、私達が借りている部屋のオーナーはこのことをすべて知っているのか?」ということでした。

なので、訪れた二人が「バスルームのタイルを一部壊して、中の状況を確認するから、今から大きな音出して破壊工事するね」って言った時には、
え?それって、私が許可したことが後から問題になってくるのかしら?と思い、

「これって、この家のオーナーは知っているんだよね? 許可していることだよね?」

と確認しました。
すると、この家のオーナーより上の、このビル全体のオーナーがこの問題を解決するように、自分たちを雇っているので、これをするのは問題ないことですよ、と説明してもらい、その後の大きな破壊音にも耐えることが出来ました。

その時は、お風呂の浴槽に大きな穴が空いていて、本当に、とんだハプニングだったな、って思いました(笑)。

「今、何が起きているのか」がわかると心配が減る

でも、この出来事で思ったことは、
「今、何が起きているのか」、そして「次に何が起きるのか」を理解できていると、本当に心配が少ないってこと。

身体のメカニズムも、まさに同じ。
私の講座の中では、脳回復のプロトコールも行うのですが、その過程で起きることは、理解しているのと、理解していないのとでは、捉え方や不安が全く変わるのです。

でも、ややもすると、私達って、その理由をきちんと理解せず、表面的なことだけ見て、大騒ぎしがちです。

例えば、この時起きたことも、「男性二人が泊まっていた宿に突然入ってきて、浴槽をボコボコに壊して行った」という出来事だけを並べたら、「なんてひどい!!!」ってことにも取れるわけです。

でも、その理由や、なぜそれをする必要があるのか、なぜそれが起きているのかを理解したら、「それは起きるべくして起きていることだな」って、冷静にその過程を見ることができるわけです。

体の「工事」を、理由を知って見守る

代謝改善って、そういう部分あるよなーって思うのです。

今、体に起きている「一見不快な反応」や「変化の波」。
それは、体が壊れているサインなのか?
それとも、本来の自分に戻るために必要な「修復(工事)」なのか?

その理由(メカニズム)を理解できれば、闇雲に不安になることはなくなります。
「ああ、今、私の体もタイルを剥がして調査中なのね(笑)」と、どっしりと構えていられる。

理解は、安心を生み、安心は代謝をさらに加速させます。
あなたも、自分の体の「工事」を、理由を知ることで、安心して見守ってあげてくださいね。


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ローザンヌで起きた「水漏れ」事件。ハプニングを楽しめるかどうかは、代謝の底力で決まる

これは、電車を乗り継いで3時間の旅で、ローザンヌへ行った時の話です。

その時の夫の仕事(お茶)にお声がけくださった方が、ご主人と一緒に駅までお迎えに来てくださって、車がないとなかなか行きにくい場所を色々と案内してくださいました。

オードリー・ヘップバーンが晩年を過ごした村や家、そして教会。
広大な葡萄畑の中にそびえ立つヴュフラン城……。自分たちだけでは到底行き着けないような美しい景色を目の当たりにして、本当に感激の連続でした。

ただ、実は私……。
前日のアイガーグレイシャーからのソリで、どうやら膝を本格的に痛めてしまったようで(泣)。
まっすぐの角度で歩いている時はなんとか大丈夫なのですが、ちょっと変な方向にひねると「ズキン!」と疼くのです。

そんな不自由な体でしたが、そのご夫婦が私の歩調に合わせ、温かく案内してくださったことが、心からありがたかったです。

そして、夕方にローザンヌの街中の宿に到着したのですが……。
ここからが「旅の醍醐味(!?)」の始まりでした。

宿主から事前に連絡が来ていた入口の番号を押しても、ドアが全く開かないのです……。
慌てて連絡を取ってみたら、なんと全く違う番号を伝えられていたことが判明(汗)。なんとか無事に入ることはできましたが、最初からドキドキのスタートでした。

でも、入ってみればとっても綺麗な宿で、立派なキッチンも付いていました。
「ここなら3晩、快適に過ごせそうだな〜」と一安心。差し入れていただいた夕飯をホッとしていただき、家族で「じゃあ、オードリー・ヘップバーンの『ローマの休日』でも見ようか」と、映画を楽しみ始めました。

……が、私はあまりの疲れと心地よさに、途中でうたた寝。
その間に夫と子供たちはシャワーを浴びていたようなのですが、突然、
「ドンドンドン!!!」
という激しいノックの音で目が覚めたのです。

「誰かがドアを叩いている……!」
怖くなって、シャワー室の夫に声をかけると、夫が急いで出てくれました。

恐る恐る「ハロー?」とドア越しに返事をしたところ、女性の声で、
「下の階のものだけど、上から雨漏りしてきているの! 20分くらい前からずっと。そちらの様子はどう?」
とのこと!

20分前……。
まさに、夫と子供がシャワーを使い始めたタイミングでした。

ドアを開けると、そこには女性が二人。
でも、彼女たちはとてもフレンドリーで、「私たちは今日からここに泊まり始めたばかりで、確かに20分前からシャワーを使い始めました。すぐにオーナーに連絡しますね」と伝えると、
「あら、日本からの旅行者なの? これはあなたたちのせいではないと思うわ。でも一応、連絡だけでもしておいてくれるかしら」
と、非常に丁寧に連絡先を教えてくださいました。

1. ハプニングを「楽しめる」かどうかは代謝次第

あの旅を通じて、改めて感じたことがあります。
それは、「旅(人生)にはアクシデントが付きものだ」ということ。

膝の痛み、ドアが開かないトラブル、そして深夜の雨漏り……。
これらが重なった時、私たちの体の中で何が起きているでしょうか?

エネルギー(代謝)が枯渇している状態だと、こうしたハプニングはすべて「脅威」として認識されます。
アドレナリンが噴出し、イライラしたり、不安で眠れなくなったり、せっかくの旅行が「最悪の思い出」に変わってしまうこともあります。

でも、細胞に十分なエネルギー(ATP)があり、甲状腺機能がしっかり働いていると、同じ出来事も「面白いエピソード」や「旅の彩り」として捉えることができるのです。

階下の住人の方々との交流も、エネルギーに余裕があったからこそ、落ち着いてフレンドリーに対応でき、結果として「スイスの人の温かさ」を感じる機会になりました。

2. 身体の「修復力」とエネルギーの貯金

また、この時痛めてしまった私の膝もそうです。
アイガーでの「極限の冒険」は楽しかったですが、体にとっては大きな物理的ストレスでした。

この痛みをただの「不運」で終わらせるか、それとも素早く修復して次の目的地を楽しむエネルギーに変えられるか。
ここでも、日頃からの「代謝の底力」が試されます。

修復には、タンパク質だけでなく、それを組み立てるための膨大な「糖エネルギー」と「ミネラル」、そして「酸素」が必要です。
ハプニングが起きても、それに動じない「気力」と、体を立て直す「体力」。
その源は、私たちが毎日何を食べて、どうエネルギーを回しているかに直結しているのだと痛感しました。

3. 楽しむための「気力」を養う

「旅は体力勝負」とよく言われますが、それは単に筋肉があるかどうかではありません。
予期せぬ事態が起きた時に、どれだけ早く「安心(副交感神経)」の状態に戻り、その状況を面白がれる心の余裕を持てるか。

その「気力」の正体こそが、脳と全身を駆け巡る「代謝エネルギー」なのです。

せっかくの人生、ハプニングも含めて丸ごと楽しみたいですよね。
そのためにも、日々の食事でしっかりと細胞の火を燃やし、アクシデントを「最高のネタ」に変えていける心と体を作って行きたいなとまた改めて思ったのでした。

ローザンヌでの残りの滞在も、膝をいたわりつつ(笑)、楽しもうと思ったのでした。


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アイガーグレイシャーからの生還。極限の「安堵」のあとのスープが細胞まで染み渡った理由

これは、スイスのグリンデルバルドに滞在していた時の話です。
その日は、これ以上ないほどの晴天に恵まれました!

前日の山は午後から曇り出し、視界が本当に悪くて……。正直、「絶景のアルプスを見れたか」と言われたら、ちょっと不完全燃焼な体験だったのです。

ところがその日は、天気予報では「曇り」だったのに、蓋を開けてみれば雲一つない快晴!
私が目を覚ました時には、夫と子供たちはすでに「もう一回、アルプスでソリにチャレンジするぞ!」と、やる気満々になっていました(笑)。

前日の「視界ゼロ」の中でのソリで、私自身もそれなりの成功体験(というか生き残り体験?)を積んでいたので、「じゃあ、せっかくここまで来ているんだから、一番高いところまで登ろうか!」と決断。

私たちが滞在していたグリンデルバルドから、最も高いアクセスポイント、標高2333mの「アイガーグレイシャー」に挑むことにしました。

快晴の中、そびえ立つアイガーの北壁を間近に見ながら、標高940mの町まで約3時間をかけて滑り降りてくる……という、壮大な大冒険の始まりです。

ところが、その冒険の裏側には、想像を絶する「極限状態」が待っていました。

1. 「絶景」と「絶叫」の間で

前日のあんなに怖いアドレナリン全開状態から一転、この日は素晴らしい景色を味わう余裕も少しだけ出てきました。
目の前に広がる真っ白な山脈と青い空。
「ああ、サイコー!!」と心からの喜びが沸き起こり、子供たちも弱音を吐かずに頑張っている姿を見て、何とも言えない達成感を感じていました。

でも、この時身をもって分かったことがあります。
それは、ソリって、実はスキーよりもかなり危険なスポーツだということ……!

まず、スピードがとにかく出やすい。
そして、ブレーキが利きにくいので一度暴走し始めると止まらないし、カーブで吹っ飛びやすいのです。
実際にスイスでも怪我人が多いスポーツなのだとか。

実は、滑っている間に私と子供も何回か転んだのですが……
一度、ものすごく大きな「吹っ飛び」を経験しました。

きついカーブを曲がりきれず、コース外の斜面へ。
頭が坂下を向いた状態で、私と小学3年生の娘は深い雪の中に投げ出されました。
動こうとすればするほど体が雪に埋まってしまい、しばらく身動きが取れなくなってしまったのです。

2. 雪の中での「救出劇」と代謝の安堵感

「どうしよう、動けない……」
そう思っていた矢先、同じように親子連れのソリが私たちのところに吹っ飛んできました!

なんと、私の上にそのお母さんが落ちてきて、ほとんど重なり合うような状態に(汗)。
さらに5歳くらいの男の子が私の少し上側に落ちたことで、結果的に私たちがストッパーになって、それ以上滑り落ちるのが止まったのでした。

そのグループにはお父さんが一緒にいたので、私と娘もそのお父さんに助け出してもらうことができ、本当に命拾いしました。
もし自力だけだったら、あの状況から抜け出すには相当な時間がかかったはずです。

さらに、ゴールの直前でまた転びそうになった時、膝を大きく捻ってしまい……。
私は足を少々痛めてしまいましたが、子供たちがどこも怪我をせず、無事に降りてこられた時には、心底ホッとしました。

この「助けてもらった」という経験と、無事にゴールできたという「極限の安堵感」。
これこそが、実は代謝を劇的に動かすトリガーになるのです。

3. なぜ「スープ」が細胞まで染み渡るのか?

山から降りて、くたくたになった足を引きずって入ったお店で食べたスープ。
それがもう、驚くほど美味しかったのです……!

滑っている途中、代謝が切れないように「糖補給」は欠かさず行っていたのですが、それでもあのスープの温かさと味は、特別なものでした。

ここで私たちが学ぶべき代謝の真実は、
「食事の美味しさは、空腹感だけでなく、その時の感情(安心感)に大きく左右される」
ということです。

生化学的に言えば、危険にさらされている時は「交感神経(戦うための神経)」が優位になり、消化吸収の機能は後回しにされます。
しかし、「助かった」「終わった」という安堵感に包まれた瞬間、体は一気に「副交感神経(修復と消化の神経)」へと切り替わります。

安心という「代謝の気候」が整って初めて、細胞は栄養を心ゆくまで受け入れる準備ができるのです。
どんなに栄養価の高いものを食べても、心が不安や緊張で凍りついている状態では、その栄養は十分に活かされません。

「安堵」こそが、最高の調味料であり、代謝のブースター。
極限の冒険の後のスープは、私の細胞一つ一つに「もう安全だよ、エネルギーを蓄えていいよ」というメッセージを届けてくれたのでした。

あなたも、忙しい毎日の中で、食事の前に一つ呼吸を置いて、「あぁ、今日も安心だな」という時間を作ってみてくださいね。それだけで、お食事の代謝効率はぐんと変わってきますよ。


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視界ゼロの雪山をソリで滑り降りて。不安(アドレナリン)を喜び(ドーパミン)に変える「本物のエネルギー」

これは、スイスの旅も中盤に入った頃の話です。
その旅で私が「何が何でも子供たちにさせてあげたい!」と心に決めていた、特別な体験についてお話しさせてください。

それは、アルプスでの「ソリ体験」です。

その旅からさかのぼること29年。
私が21歳の時にスイスで農業研修をしていたのですが、その時に体験したソリの記憶があまりにも鮮烈で……。「いつか自分の子供たちにも、あの銀世界を滑り降りる体験をさせてあげたい」という願いが、そのスイス行きが決まった時に一番に頭に浮かんだことでした。

夫のその時のスイスでの仕事はローザンヌ近郊だったのですが、研修先の農家を訪ねたベルンから少し離れた、グリンデルバルドというアルプスの麓の町に宿を取り、準備万全で臨みました。

ところが、旅は予定通りにはいかないものですね(笑)。

新しく積もったまっさらな雪に恵まれたのは本当にラッキーだった反面、、、
下調べを重ねて「ここに行こう!」と決めていたバスアルプという場所は、雪が凄すぎてなんと閉鎖……!
ソリ体験は怖くもあったので、本当に沢山下調べしていたのに(涙)

「ええ〜っ、そんなことあるの?!」と驚きながら、ソリを借りに入ったお店の店員さんに相談すると、
「今日はそこは無理だよ。代わりにゴンドラで標高2333mのアイガーグレイシャーに上がって、そこから滑り降りたら?」と勧められました。

でも……。
そこは難易度が高いと聞いていたし、午後の曇り空。
私は内心、かなり怖くなっていました。

「本当に大丈夫? 危なくない?」

そう聞く私に、店員さんは「足でブレーキしながら進めば大丈夫じゃないかな!」と、いかにもスイス人らしい(?)軽やかなお返事(笑)。

「悩んでいたら、ソリができる時間が終わってしまう!」
最後はバタバタと決断し、アイガーよりはほんの少し低いマンリッヒェン(それでも標高2230m!)にゴンドラで上がり、そこから1550mの駅まで約1時間をかけて滑り降りてきました。

1. 「足でブレーキ」という最強の安心感

一面の真っ白な世界。
ルートを示すポールを頼りに滑るのですが、あまりの雪でそのポールさえ埋もれて見えないこともありました。
色でルートが分けられているので、途中見間違うと、違うルートに入ってしまったりして、それはかなり急な道を行くことにも。

「この道で合ってるのかな……?」
「この先、崖になってないかな?」

視界が遮られると、私たちの脳は瞬時に「不安(アドレナリン)」のスイッチを入れます。
軍足(?)で雪を踏みしめるような、そんな原始的な感覚。
でも、そんな時に私を支えてくれたのは、あの店員さんの「足でブレーキすれば大丈夫だから!」という言葉でした。

これ、実は代謝の視点で見てもすごく深いんです。

私たちは複雑な問題に直面したとき、つい「もっと高度な技術が必要だ」「もっと準備しなきゃ」と思い込みがちです。
でも、本当に自分を守ってくれるのは、地面をしっかり踏みしめる「自分の足」という、最も原始的で基本的な身体の機能なんですよね。

「いざとなったら止まればいい」
その確かな手応え(足応え?)があるからこそ、私たちは未知の白い世界へ滑り出す勇気を持てるのです。
(まあ、私の場合は、いざとなったら転ぶ、を繰り返していましたが。笑)

2. 不安(アドレナリン)を止め、行動(グルコース消費)によって喜び(ドーパミン)への変換を増やす

ルートの目印が見えず、不安に襲われながら滑り降りる1時間は、正直かなり疲れました。
ややもするとスピードが出すぎてカーブを曲がりきれなくなるし。
一緒に乗せている娘がずり落ちないように、必死で抱きかかえているし。

でも、ふと遠くに駅が見えた瞬間……。

「やり遂げた〜〜〜!!!」

という、体の奥から溢れ出すような安堵とエネルギーを感じました。
これは単なる「終わった」という安心感ではなく、自分の力で不確かな道を突破した時にだけ得られる「自己信頼」のエネルギー。

実は、生化学的に見ても、この「不安と感動」は紙一重のところにあります。
ストレスの時に出る「アドレナリン」と、喜びを感じる「ドーパミン」。
この2つは、もともと同じ「チロシン」というアミノ酸から作られる、いわば兄弟のような物質です。

私たちの体が「不安」という回路にエネルギーを奪われているとき、チロシンはどんどんアドレナリンへと使われてしまいます。これが続くと脳は疲弊し、視野は狭くなり、代謝は停滞してしまいます。

でも、勇気を出して一歩踏み出し、「できた!」という達成感を味わうと、体はエネルギーの使い道を「生存のための闘い(アドレナリン)」から「喜びと報酬(ドーパミン)」へと一瞬で切り替えるのです。

不安(アドレナリン)を止め、行動(グルコース消費)によって喜び(ドーパミン)への変換を増やす。
これこそが、生きている実感を最も高めてくれる代謝のサイクルです。

3. 子供たちの「キラキラ」は代謝が高い証拠

滑り終わった後、3人の子供たちは顔を輝かせながら、声を揃えて言いました。

「たのしかったあ!!! 明日もやりたいっ!!!」

私が「怖かった……疲れた……でもやり遂げれた〜〜」と安堵している横で、子供たちはもう次の「やりたい!」に向かってエネルギーを全開にしていました。
この「切り替えの速さ」と「純粋な意欲」こそが、エネルギーがスムーズに回っている子供たちの素晴らしさです。

彼らの瞳の輝きを見たとき、心から思いました。
「決断して、やってみて、本当によかったな」と。

人生も、時に霧がかかった雪山のようかもしれません。
下調べ通りにいかないことばかりだし、目印のポールが見えなくなることもあります。

でも、そんな時は、思い出してほしいと思います。
「足のブレーキ」という自分自身の基本的な原始的な身体の力を信じること。
大いなる冒険の先には、想像していなかった達成感を感じている、新しい景色を見る自分が待っているということを。


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誰も悪くないのに、大事になる|「つらい」と感じる前から動いているアドレナリンの話

ある日、わが家の玄関に、警察の方がいらっしゃいました。

仕事をしていたら、子どもたちが「警察の人だ!」「おまわりさんが来た!」と騒いでいて。

何ごと?!と出ていくと、

「娘さんたちが100円を受け取りに来られたんですけど、あの派出所ではお渡しができなくて、隣町まで行っていただかないといけないんです」

と、ていねいに説明してくださるのです。

….100円を? 受け取りに? 警察に行ったの??

頭の中がはてなでいっぱいのまま、とりあえず「すみません….」と謝っていました。笑

100円が、家庭訪問になるまで

あとで子どもたちに聞いて、やっと全体がつながりました。

2ヶ月くらい前、一番下の小2の娘が、道で100円を拾って、近くの派出所に届けていたのです。

その持ち主が、結局あらわれなかった。

それで警察から「拾った方は受け取りに来てください」というお手紙が届いていたのですね。

漢字がたくさんで読めないところは、夫に途中まで読んでもらって。

これは、受け取りに行かなきゃ。

と、姉妹そろって、派出所まで出かけていった。

ところが、派出所には誰もいない。

「御用の方は、こちらにお電話ください」という貼り紙があって、それは隣町の本部につながる番号。

小4の娘がそこから電話をかけて、状況を説明したそうです。

「今からそちらに向かわせますので、待っていてください」

そして、隣町から20分かけて、おまわりさんが来てくださった。

子どもたちに「ここでは渡せないんだよ」と説明して、

「ご両親にもお伝えしておくね」と、わが家まで。

….というのが、その日の顛末でした。

全員が、持ち場で正しかった

毎日いろいろあるな〜とは思っていたけれど、こういう「いろいろ」もあるのだな〜と、顛末を知ってから、とても笑えてしまいました。

でも、笑いながら、ふと思ったのです。

大人のわたしだったら、100円を拾っても、「100円くらい」と思ってしまったかもしれない。

受け取りのお手紙が来ても、「わざわざ行くほどでもないか」と流していたと思います。

子どもたちは、100円を、100円のまま終わらせなかった。

拾ったから、ちゃんと届けた。

お手紙が来たから、書いてあるとおりに受け取りに行った。

誰もいなかったから、書いてあるとおりに電話をした。

警察の方も、決まりどおりに、ていねいに説明に来てくださった。

誰も悪くないんですよね。

全員が、自分の持ち場で、正しく動いている。

それなのに、100円が、おまわりさんの家庭訪問になった。笑

その、小さなことを小さなことのままにしない感じが、なんだか、体のほうに似ているな〜と思ったのです。

「つらい」と感じる、ずっと手前で

体も、小さなことを「これくらい」とは流しません。

1987年に、アメリカのCryer(クライヤー)先生たちのグループが、こんな実験を報告しています(Schwartz NS, Clutter WE, Shah SD, Cryer PE. The Journal of Clinical Investigation, 1987)。

健康な10人の血糖を、90 mg/dLから40 mg/dLまで、1時間ごとに10ずつ、階段を下りるように下げていく。

そのあいだ、体の中で「燃料を戻そう」とするホルモンが、どの段階で動き出すのかを測ったのです。

結果は、こうでした。

アドレナリン およそ69
グルカゴン およそ68
成長ホルモン およそ66
コルチゾール およそ58

そして、本人が「なんだか具合が悪い」と症状を感じはじめたのは、およそ53。

アドレナリンが動き出してから、本人が気づくまでに、15以上の開きがあるのですね。

論文のタイトルが、そのまま結論になっています。

「血糖を戻す仕組みが動き出す値は、症状が出る値よりも高い」

研究者たちは、この仕組みは下がりすぎた血糖を「直す」ためだけでなく、そもそも下がりすぎないように「防ぐ」ためにも働いている、とまとめています。

つまり、

体は、あなたが「つらい」と気づくずっと手前から、もう動いているのです。

わたしたちが自覚するのは、そのいちばん最後のところ。

おまわりさんが玄関に立ったところで、初めて「何ごと?!」と気づく。

でもその前に、拾う人がいて、届ける人がいて、手紙を書く人がいて、電話を受ける人がいた。

体の中にも、同じように、わたしたちの知らないところで動いている段取りがあるのです。

アドレナリンは、悪者ではない

アドレナリンと聞くと、「ストレスのホルモン」「悪いもの」というイメージを持つ方も多いと思います。

でも、この実験で見えてくるのは、アドレナリンは、燃料が細くなりかけたときに、真っ先に駆けつける係だということです。

心臓の拍動を上げる。

目を覚まさせる。

たくわえてあるものを動かして、なんとか燃料を届けようとする。

どれも、脳を守るための、決まりどおりの働きです。

ただ、その「決まりどおり」を、わたしたちは別の名前で体験しています。

胸がドキドキする。

夜中の3時に、パチッと目が覚める。

手足が冷たい。

ちょっとしたことに、イライラしてしまう….。

体の中では、係の人が持ち場で正しく働いただけ。

でも、受け取る側のわたしたちには、それが「不調」として届く。

見るのは「犯人」ではなく「最初の100円」

「大事」になると、わたしたちは、つい犯人を探してしまいます。

私の性格が弱いから。

もう年だから。

どこか、体が壊れてしまったのかも….。

でも、この1987年の実験を思い出すと、別の見方ができます。

体の中の誰も、悪くないのかもしれない。

みんな、自分の持ち場で、決まりどおりに、正しく動いただけ。

だとしたら、見るべきなのは「誰が悪いか」ではなくて、

最初の100円は、何だったのか。

のほうなのかな〜と思うのです。

お昼を、ちょっと抜いた。

忙しくて、夕方まで何も口にしていなかった。

甘いものを我慢して、ずっと気を張っていた。

体にとっての「100円」は、たいてい、それくらいの小さなことです。

体は「これくらい」と流さない

大人のわたしたちは、つい「これくらい」と流してしまう。

でも体は、あの子どもたちと同じように、小さなことをちゃんと拾って、ちゃんと届けてくれているのですね。

わたしたちは、それを「大事」になってから、ようやく玄関で受け取っているのかもしれません。

あなたが最近、「これくらい」と流している100円は、何ですか?


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デトックスのための断食が、実は逆効果になる理由。解毒の主役「肝臓」には糖と栄養が要る

これは、関空から中国北京経由でスイスのジュネーブに飛んだ旅の途中、
北京の待ち時間に書いた話です。

インスタを開くと、ファスティングを広めるインフルエンサーの発信が目に飛び込んできました。
そういえば、昔、「飛行機ではあえて機内食を食べず、デトックス時間に当てる」
と言っている方もいたな〜なんてことも思い出しました。

あの頃は私もそれが正しいことって思っていました。「デトックスのために、食べないほうが良い」
それを信じて疑いませんでした。

でも、今ではそれは大きな間違いだとわかっています。

春先などの時期になると、「デトックス」を目的に断食(ファスティング)やジュースクレンズなどに挑戦される方が増えますね。

一時的な胃腸のお休みとしてなんとなくスッキリする感覚はあるかもしれませんが、
長期的にみた「毒素を排出する」というデトックスの観点から考えると、ちょっと待ってください!!とお伝えしたくなります。

実は、デトックスのための断食は、少し考えると長期にわたってはネガティブな結果を招いてしまいます。

ここでは、その理由について体のメカニズムの視点からさっくりお話ししたいと思います。

デトックスの主役は「肝臓」

体の中で解毒(デトックス)を担っているのは、ご存知の通り「肝臓」です。

体に溜まったゴミや、代謝の過程で出た不要なもの、さらには環境からの毒素などを
無害な状態に変えて外に出してくれるのが肝臓の働きです。

しかし、ここでとても重要な事実があります。

この「肝臓がちゃんと解毒機能を発揮するため」には、なんと、
めちゃくちゃたくさんの「糖」と「栄養」が必要なのです!

Peat博士が指摘する「肝臓のエネルギー」

Ray Peat博士の文章にも、この肝臓のデトックス機能の仕組みについて明確に書かれています。

博士によれば、肝臓が毒素を処理し、無毒化して排出するというプロセスには、
膨大なエネルギー(糖)と十分な甲状腺ホルモン、そして良質なタンパク質などの栄養素が不可欠です。

十分な量の「糖」や栄養が肝臓にストックされていて初めて、
肝臓はその素晴らしい本来のデトックス能力を発揮できるようになるのです。

断食(エネルギー不足)が及ぼす影響

では、デトックスのためにと「何も食べない」断食をするとどうなるでしょうか?

体に入ってくる糖や栄養が途絶えると、肝臓のエネルギーはあっという間に枯渇してしまいます。
肝臓はエネルギー不足に陥り、解毒するためのエンジンを回せなくなってしまうのです。

さらに、エネルギー不足の危機を感じた体はストレスホルモンを分泌し、
筋肉を分解したり、脂肪を遊離させたりして、なんとかエネルギーを作り出そうとします。
このストレス状態自体が、肝臓や甲状腺の働きを大きく低下させてしまいます。

結果として、肝臓は毒素を処理できなくなり、本来出されるべきゴミが体内に長居することに……。
デトックスのために始めた断食が、むしろ解毒できない体を作ってしまうという皮肉な状態になってしまうのです。

本当のデトックスとは?

もし「ちゃんとデトックスできる体」を作りたいのなら、やるべきことはエネルギーを「抜く」ことではありません。

肝臓がフル回転できるように、十分な糖(エネルギー)と、ミネラルやビタミン、良質なタンパク質を「与える」ことです。
豊かな栄養と糖で満たされることで、肝臓は初めてしっかりと機能してくれます。

代謝を上げるということは、つまり「肝臓の処理能力を最大化すること」でもあります。

「抜く」のではなく「満たす」アプローチで、本物のデトックスができる体を目指していきましょう!

今日も美味しいエネルギーを、しっかり体に届けてあげてくださいね。

代謝高く、軽やかな一日を。


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なぜ代謝を上げて健康でいたいのか。ストレスが「楽しみ」のドーパミンを奪っていく仕組み

これは、旅がスタートした時の話です。その旅は、私が学生時代に1年過ごしたスイスへ。
夫が仕事で行くことになり、子供も春休みだったのもあって、私の人生でもう一回は訪ねたい場所だったので、ついていくことにしました。

「どうして代謝を上げて健康でいたいのですか?」
そう聞かれたら、私は間違いなく、
「いつまでも旅をする気力と体力を持っていたいから」
って答えるかもなって思います。

この「旅の楽しみ」や「ワクワク」って、私たちの体の中のドーパミンが働いてくれるからこそ感じられるものなのです。

これを書いたのは関西の宿で一泊した夜でしたが、そんな「ドーパミン」について、少し専門的なお話をシェアしたいと思います。

1. 楽しみを作る「ドーパミン」の本当の顔

ドーパミンと聞くと、世間では「ギャンブル依存」や「快楽ホルモン」といった少しネガティブなイメージで語られることも多いですが、実は私たちが生きる上で不可欠な「真の幸福と報酬のホルモン」です。

実は、ドーパミンは単なる「快楽」のためではなく、愛する人との絆、目標の達成、そして人生を豊かにする行動そのものを私たちに動機づけてくれる大切なホルモンなのです。

しかし、なぜ多くの人が大人になるにつれて「新しいことに挑戦する気力」や「旅に出るエネルギー(やる気)」を失ってしまうのでしょうか?

ここには、ストレスとエネルギー(代謝)のメカニズムが深く関わっています。

2. アドレナリンは、ドーパミンから作られる!?

ここで一つ、とても重要な体の仕組みをお話しします。

実は、私たちの体をサバイバルモードにするストレスホルモンの「アドレナリン」は、ドーパミンを材料にして作られています。
(正確には、チロシンというアミノ酸からドーパミンが作られ、そこからさらにアドレナリンが合成されます)

つまり、どういうことかというと……

私たちの体がエネルギー不足(糖欠乏)や、精神的・肉体的な慢性ストレスにさらされていると、体は危機を乗り越えるためにアドレナリンを大量に分泌しようとします。

その結果、本来なら「楽しみ」や「やる気」として使われるはずだった貴重なドーパミンが、ストレスに対処するためのアドレナリンにどんどん変換されて奪われてしまうのです。

ストレスが多い時や、エネルギーが枯渇している時に、「何もやる気が起きない」「どこにも出かけたくない」となってしまうのは、気のせいではなく、物理的にドーパミンが枯渇しているからなんですね。

そして、自分の内側から健全なドーパミンが得られない状態だと、私たちは買い物依存や、ギャンブル依存などで手っ取り早くドーパミンを出す行動に依存しがちになるのです。

3. 代謝を上げることは、人生を楽しむ準備

「うつ」のように心が動かなくなる状態も、セロトニンの問題というよりは「ドーパミン(とその前駆体)の枯渇」であることが実は多いのです。

だからこそ、私たちがいつまでも旅に出る気力や、人生を楽しむワクワクを持ち続けるためには、代謝を高く保つことが絶対に必要なのです。

体に十分なエネルギー(糖)を与え、細胞を本来の働きで満たしてあげる。
そうすることで、体は不必要なアドレナリンを出す必要がなくなり、ドーパミンがしっかりと本来の「幸福とやりがい」のために使われます。

私が「代謝、代謝!」とお伝えしているのは、単に病気にならないためだけではありません。
ドーパミンに満ち溢れ、自分の人生を骨の髄まで楽しみ尽くすためなのです。

スイスでの時間も、しっかりエネルギーを回しながら、ドーパミン全開で楽しもうと思っていました!
あなたも、自分の「ワクワク」を守るために、今日も美味しいエネルギーを体に届けてあげてくださいね。

代謝高く、軽やかな一日を。


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大切な人を亡くしたあと、元気を取り戻す人がしていること|体内時計の針を合わせるのは「日課」

ある秋の連休の朝、義理の母に電話をしました。

義父が亡くなって、しばらく経ったころです。

ご主人に先立たれた周りのお友達が、いろいろと誘ってくれているようで、これまで映画に行ったり、自分の予定で動いたりすることが一切なかった母が、お友達と映画に行ったり、週に3回プールに通ったりしているとのことでした。

「毎日やることがたくさんあって忙しいの。こんなに幸せでいいのかしらね」

電話の向こうのこの言葉が、とても印象的でした。

これまで色々とやり遂げてきた人だからこそ、その先の自由を手に入れて、清々しく楽しんでいるのだな〜と、声を聞いていて感じました。

5時前のラジオ体操と、拭き掃除

母は、朝5時前には起きて、ラジオ体操をします。

それから、拭き掃除。

1日の日課を、淡々とこなしているそうです。

お父さんが亡くなって、だらけるわけでもなく。

毎日の日課を、ちゃんと続けている。

健全な精神と、健全な行動があって、周りからも愛されて、やるべきことを着々とやっている。

その姿が、本当に素晴らしいなと思いました。

「仕方がない」と思われている場所

連れ合いを亡くしたら、気落ちして、元気がなくなるのは仕方がない。

心の元気は心の問題で、体の元気は体の問題。

そう思いがちですよね。

でも、母の声を聞いていて、ああ、やっぱり全部つながっているんだよな〜と、改めて実感した朝でした。

心の健康と、体の健康。

そのどちらもが、毎日の行動の上に乗っている。

これは、気の持ちようの話だけではないと、わたしは思っています。

体内時計の針を合わせているのは、光だけではない

1988年に、アメリカの精神医学の研究者たち(Ehlers、Frank、Kupfer)が、「Social zeitgebers and biological rhythms(社会的な時計合わせと、体のリズム)」という論文を出しています(Archives of General Psychiatry)。

zeitgeber(ツァイトゲーバー)というのはドイツ語で、「時を与えるもの」。

ふつうは、朝の光のように、体内時計の針を合わせてくれるもののことを指します。

この論文が言っているのは、体内時計の針を合わせているのは光だけではない、ということでした。

人。

日々の用事や、求められること。

毎日の役割。

こうしたものも、体の時計を合わせる「時を与えるもの」として働いている。

そして、それを失うことで社会的なリズムが崩れると、体のリズムまで不安定になり、それがうつの引き金になりうる、という仮説です。

大切な人を亡くすというのは、その人を失うことだけではないのですね。

毎日同じ時間にごはんを作る。

同じ時間に声をかける。

相手の予定に合わせて、1日が回っていく。

そういう、自分の時計の針を毎日合わせてくれていたものを、まとめて失うことでもある。

母は、時計を自分で置き直していた

そう思って母の毎日を見直すと、

5時前のラジオ体操。

拭き掃除。

週に3回のプール。

誘ってくれるお友達。

全部が、「時を与えるもの」なのですね。

義父との暮らしの中で合わせていた時計を、母は、自分の日課とお友達とで、ひとつひとつ置き直していたのだな、と思いました。

本人は、たぶんそんなことは考えていなくて。

ただ、淡々と、毎日やるべきことをやっているだけ。

でも、その「淡々と」が、いちばん強いのかもしれません。

予測できる毎日は、脳の燃費がいい

同じ嫌な出来事でも「予測できない」「自分ではどうにもできない」が重なると、ストレスの反応が大きく、長引きます。

日課があるというのは、その逆側にいるということです。

朝、何時に起きるか。

起きたら、まず何をするか。

考えなくても、体が知っている。

毎日を「だいたい予測できるもの」として回せると、脳は、そこにエネルギーを使わずに済みます。

浮いた分を、お友達と笑うことや、映画を楽しむことや、「こんなに幸せでいいのかしら」と感じることに回せる。

大きな喪失のあとで、いちばん燃料が足りなくなりやすい時期に、母は、燃料の無駄づかいが少ない毎日を、自分で組んでいたのだと思います。

行動が先か、体が先か

わたしはいつも、脳が主で、体は従う側、というお話をしています。

脳にエネルギーが届いていなければ、どんなに心がけても、行動はついてこない。

それは今も変わりません。

でも、母の話を聞いていて思ったのは、これは一方通行ではないのだな、ということでした。

エネルギーがあるから、朝5時前に起きて体を動かせる。

体を動かして、リズムがあるから、毎日のエネルギーの使い方が安定する。

安定するから、また次の朝も起きられる。

ぐるぐると、行ったり来たり。

健全な行動の上に、健全な肉体がある。

そして、その体の上に、「こんなに幸せでいいのかしらね」と言える心がある。

滝と、おにぎり

その電話のあとは、家族で1時間半ほど歩いて、近くの滝まで行きました。

着いたら、みんなでおにぎり。

子どもたちが握ってくれたおにぎりでした。

こんなに近くで、自然に囲まれて、本当に気持ちがいいね〜と、みんなで大笑いしながら過ごした一日でした。

あなたの毎日の中で、考えなくても体が動いてくれる「日課」は、何ですか?


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真夜中の訪問者と「戦闘ホルモン」アドレナリン。スイッチが入りっぱなしの体に安心を届けるには

これは、少しショッキングで、でも命について深く考えさせられた、ある夜から朝にかけての出来事の話です。

夜中の2時55分、鶏小屋で

しばらくキツネが姿を見せなくなっていたので、少し油断していた、その夜のこと。
実は、大切に育てている鶏たちがキツネに襲われてしまいました。

キツネは本当に執念深く、目隠し用に囲っていた板を全部剥がし、網を破って鶏小屋の中に侵入していたんです。
2羽が大きな怪我を負ってしまった状態で、異常な物音と声に気づいた夫が駆けつけ、現場でキツネとの睨み合いに…。

私が夫からの電話で、何事?と、飛び起き、外に駆け出したのは夜中の2時55分でした。

暗闇の中、私が夫の代わりにキツネにライトを当てる役をして、その間になんとか夫が退治する道具を倉庫へと走りました。

結局、なんとかキツネを退治し、ショック状態の鶏たちを落ち着かせて、私たちが家に入ったのはもう朝の4時近く。
気がつくと、薄っぺらい寝間着一枚で、外で奮闘していたけど、寒さなんて全く感じていなかったことにも気が付きました。

そのあとは、私も夫も「戦闘モード」全開でアドレナリンが異常に分泌されていて、体が覚醒しきってしまい、しばらく全く寝付けませんでした。
(はい、糖はとったけど、それでも、しばらく寝付けませんでした。。)

そして、その朝。
子どもたちに状況を話し、皆でキツネをお花と一緒に土に埋めました。

そこで分かったのですが、実はそのキツネは、メス狐だったんです。
母乳をあげた後のおっぱいの様子から、「ああ、このお母さんギツネも、自分の子供を育てるために必死に獲物を狩る必要があったんだな…」と気づきました。

鶏を守るためには、このしつこいキツネとの戦いを終わらせるしか方法はありませんでした。
けれど、こんな山を降りて、田舎とはいえ町中をウロウロし、食べ物がない中で必死に生きようとしていたキツネの状況を思うと、「本当はキツネが悪いわけではないんだ」という事実が突き刺さり、なんとも言えない歯痒く、切ない朝を迎えました。

そして、この出来事を通して、私はある「体の仕組み」について、とても身にしみて実感したことがあります。
それが、「アドレナリン」という戦闘ホルモンの凄まじさと、その役割です。
ここでは、そのアドレナリンについてお話ししたいと思います。

1. 「戦闘ホルモン」の凄まじさと役割

夜中の3時に飛び起き、極限の緊張感の中で動けたのも、寒さを全く感じなかったのも、その後全く眠れなくなったのも、すべて我が身に起きた危機に対して体が瞬時に「アドレナリン」をドバッと放出したからです。

アドレナリンは、私たちが生き延びるために、一時的に痛みや疲れを感じなくさせ、爆発的な力を引き出してくれる「命綱」のようなホルモンです。
だから、あの時のような「いざ戦うぞ」「命を守るぞ」という時には、絶対に絶対に必要なもの。

2. 現代人の終わらない「戦闘モード」

ですが、問題はここからです。

このアドレナリン、「必要な時」には出てほしいけれど、「必要じゃない時」には静かにしていてほしいホルモンなんです。

野生の世界では、キツネとの戦いが終われば、動物たちは安全な場所に戻り、戦闘ホルモンのスイッチを「オフ」にしてリラックスします。

でも、現代を生きる私たちの多くは、どうでしょうか?

キツネに襲われるような命の危機はなくても、
・仕事でのプレッシャー
・終わらない家事や育児のタスク
・人間関係のストレス
・睡眠不足や栄養不足(エネルギー不足)

こういった日常の「見えない危機」に対して、体はずっと「今は緊急事態だ!戦わなきゃ!」と勘違いし、アドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンを出し続けてしまっています。

ずっと戦闘モードのスイッチが「オン」になりっぱなしになっているんです。

あの夜の私たち夫婦が、戦いが終わった後も神経が昂って眠れなかったように、アドレナリンが出っぱなしの体は、深く休まることができません。夫婦喧嘩の後には眠れない状態になった、と言う状態もまさに体内のアドレナリン過多ですね。

アドレナリン過多な状態で、私達は常に力み、エネルギーを無駄に消耗し、やがて心も体もパサパサに枯渇してしまいます。

3. 鞘に納めて、「安心できる体」を作ろう

だからこそ、私たちが一番に取り組むべきなのは、体が「もう戦わなくて大丈夫だよ」「ここは安全だよ」と安心できる状態を作ってあげることです。

そのためには、体にとっての一番の安心材料である「十分なエネルギー(糖)」を満たしてあげること。そして、意識して休むこと。

戦闘ホルモンは、いざという時のためのお守りです。
普段は鞘(さや)に納めて、静かにリラックスできる心と体を育てていきたいですね。

あの夜の出来事はとても悲しく、苦しいものでしたが、命の尊さと、私たちが生きるために備わっている体の仕組みの奥深さを、改めて教えてもらった気がします。

今日も、あなたが安心に包まれた穏やかな一日を過ごせますように。


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