真夜中の訪問者と「戦闘ホルモン」アドレナリン。スイッチが入りっぱなしの体に安心を届けるには

これは、少しショッキングで、でも命について深く考えさせられた、ある夜から朝にかけての出来事の話です。

夜中の2時55分、鶏小屋で

しばらくキツネが姿を見せなくなっていたので、少し油断していた、その夜のこと。
実は、大切に育てている鶏たちがキツネに襲われてしまいました。

キツネは本当に執念深く、目隠し用に囲っていた板を全部剥がし、網を破って鶏小屋の中に侵入していたんです。
2羽が大きな怪我を負ってしまった状態で、異常な物音と声に気づいた夫が駆けつけ、現場でキツネとの睨み合いに…。

私が夫からの電話で、何事?と、飛び起き、外に駆け出したのは夜中の2時55分でした。

暗闇の中、私が夫の代わりにキツネにライトを当てる役をして、その間になんとか夫が退治する道具を倉庫へと走りました。

結局、なんとかキツネを退治し、ショック状態の鶏たちを落ち着かせて、私たちが家に入ったのはもう朝の4時近く。
気がつくと、薄っぺらい寝間着一枚で、外で奮闘していたけど、寒さなんて全く感じていなかったことにも気が付きました。

そのあとは、私も夫も「戦闘モード」全開でアドレナリンが異常に分泌されていて、体が覚醒しきってしまい、しばらく全く寝付けませんでした。
(はい、糖はとったけど、それでも、しばらく寝付けませんでした。。)

そして、その朝。
子どもたちに状況を話し、皆でキツネをお花と一緒に土に埋めました。

そこで分かったのですが、実はそのキツネは、メス狐だったんです。
母乳をあげた後のおっぱいの様子から、「ああ、このお母さんギツネも、自分の子供を育てるために必死に獲物を狩る必要があったんだな…」と気づきました。

鶏を守るためには、このしつこいキツネとの戦いを終わらせるしか方法はありませんでした。
けれど、こんな山を降りて、田舎とはいえ町中をウロウロし、食べ物がない中で必死に生きようとしていたキツネの状況を思うと、「本当はキツネが悪いわけではないんだ」という事実が突き刺さり、なんとも言えない歯痒く、切ない朝を迎えました。

そして、この出来事を通して、私はある「体の仕組み」について、とても身にしみて実感したことがあります。
それが、「アドレナリン」という戦闘ホルモンの凄まじさと、その役割です。
ここでは、そのアドレナリンについてお話ししたいと思います。

1. 「戦闘ホルモン」の凄まじさと役割

夜中の3時に飛び起き、極限の緊張感の中で動けたのも、寒さを全く感じなかったのも、その後全く眠れなくなったのも、すべて我が身に起きた危機に対して体が瞬時に「アドレナリン」をドバッと放出したからです。

アドレナリンは、私たちが生き延びるために、一時的に痛みや疲れを感じなくさせ、爆発的な力を引き出してくれる「命綱」のようなホルモンです。
だから、あの時のような「いざ戦うぞ」「命を守るぞ」という時には、絶対に絶対に必要なもの。

2. 現代人の終わらない「戦闘モード」

ですが、問題はここからです。

このアドレナリン、「必要な時」には出てほしいけれど、「必要じゃない時」には静かにしていてほしいホルモンなんです。

野生の世界では、キツネとの戦いが終われば、動物たちは安全な場所に戻り、戦闘ホルモンのスイッチを「オフ」にしてリラックスします。

でも、現代を生きる私たちの多くは、どうでしょうか?

キツネに襲われるような命の危機はなくても、
・仕事でのプレッシャー
・終わらない家事や育児のタスク
・人間関係のストレス
・睡眠不足や栄養不足(エネルギー不足)

こういった日常の「見えない危機」に対して、体はずっと「今は緊急事態だ!戦わなきゃ!」と勘違いし、アドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンを出し続けてしまっています。

ずっと戦闘モードのスイッチが「オン」になりっぱなしになっているんです。

あの夜の私たち夫婦が、戦いが終わった後も神経が昂って眠れなかったように、アドレナリンが出っぱなしの体は、深く休まることができません。夫婦喧嘩の後には眠れない状態になった、と言う状態もまさに体内のアドレナリン過多ですね。

アドレナリン過多な状態で、私達は常に力み、エネルギーを無駄に消耗し、やがて心も体もパサパサに枯渇してしまいます。

3. 鞘に納めて、「安心できる体」を作ろう

だからこそ、私たちが一番に取り組むべきなのは、体が「もう戦わなくて大丈夫だよ」「ここは安全だよ」と安心できる状態を作ってあげることです。

そのためには、体にとっての一番の安心材料である「十分なエネルギー(糖)」を満たしてあげること。そして、意識して休むこと。

戦闘ホルモンは、いざという時のためのお守りです。
普段は鞘(さや)に納めて、静かにリラックスできる心と体を育てていきたいですね。

あの夜の出来事はとても悲しく、苦しいものでしたが、命の尊さと、私たちが生きるために備わっている体の仕組みの奥深さを、改めて教えてもらった気がします。

今日も、あなたが安心に包まれた穏やかな一日を過ごせますように。


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大切な人を亡くしたあと、元気を取り戻す人がしていること|体内時計の針を合わせるのは「日課」

ある秋の連休の朝、義理の母に電話をしました。

義父が亡くなって、しばらく経ったころです。

ご主人に先立たれた周りのお友達が、いろいろと誘ってくれているようで、これまで映画に行ったり、自分の予定で動いたりすることが一切なかった母が、お友達と映画に行ったり、週に3回プールに通ったりしているとのことでした。

「毎日やることがたくさんあって忙しいの。こんなに幸せでいいのかしらね」

電話の向こうのこの言葉が、とても印象的でした。

これまで色々とやり遂げてきた人だからこそ、その先の自由を手に入れて、清々しく楽しんでいるのだな〜と、声を聞いていて感じました。

5時前のラジオ体操と、拭き掃除

母は、朝5時前には起きて、ラジオ体操をします。

それから、拭き掃除。

1日の日課を、淡々とこなしているそうです。

お父さんが亡くなって、だらけるわけでもなく。

毎日の日課を、ちゃんと続けている。

健全な精神と、健全な行動があって、周りからも愛されて、やるべきことを着々とやっている。

その姿が、本当に素晴らしいなと思いました。

「仕方がない」と思われている場所

連れ合いを亡くしたら、気落ちして、元気がなくなるのは仕方がない。

心の元気は心の問題で、体の元気は体の問題。

そう思いがちですよね。

でも、母の声を聞いていて、ああ、やっぱり全部つながっているんだよな〜と、改めて実感した朝でした。

心の健康と、体の健康。

そのどちらもが、毎日の行動の上に乗っている。

これは、気の持ちようの話だけではないと、わたしは思っています。

体内時計の針を合わせているのは、光だけではない

1988年に、アメリカの精神医学の研究者たち(Ehlers、Frank、Kupfer)が、「Social zeitgebers and biological rhythms(社会的な時計合わせと、体のリズム)」という論文を出しています(Archives of General Psychiatry)。

zeitgeber(ツァイトゲーバー)というのはドイツ語で、「時を与えるもの」。

ふつうは、朝の光のように、体内時計の針を合わせてくれるもののことを指します。

この論文が言っているのは、体内時計の針を合わせているのは光だけではない、ということでした。

人。

日々の用事や、求められること。

毎日の役割。

こうしたものも、体の時計を合わせる「時を与えるもの」として働いている。

そして、それを失うことで社会的なリズムが崩れると、体のリズムまで不安定になり、それがうつの引き金になりうる、という仮説です。

大切な人を亡くすというのは、その人を失うことだけではないのですね。

毎日同じ時間にごはんを作る。

同じ時間に声をかける。

相手の予定に合わせて、1日が回っていく。

そういう、自分の時計の針を毎日合わせてくれていたものを、まとめて失うことでもある。

母は、時計を自分で置き直していた

そう思って母の毎日を見直すと、

5時前のラジオ体操。

拭き掃除。

週に3回のプール。

誘ってくれるお友達。

全部が、「時を与えるもの」なのですね。

義父との暮らしの中で合わせていた時計を、母は、自分の日課とお友達とで、ひとつひとつ置き直していたのだな、と思いました。

本人は、たぶんそんなことは考えていなくて。

ただ、淡々と、毎日やるべきことをやっているだけ。

でも、その「淡々と」が、いちばん強いのかもしれません。

予測できる毎日は、脳の燃費がいい

同じ嫌な出来事でも「予測できない」「自分ではどうにもできない」が重なると、ストレスの反応が大きく、長引きます。

日課があるというのは、その逆側にいるということです。

朝、何時に起きるか。

起きたら、まず何をするか。

考えなくても、体が知っている。

毎日を「だいたい予測できるもの」として回せると、脳は、そこにエネルギーを使わずに済みます。

浮いた分を、お友達と笑うことや、映画を楽しむことや、「こんなに幸せでいいのかしら」と感じることに回せる。

大きな喪失のあとで、いちばん燃料が足りなくなりやすい時期に、母は、燃料の無駄づかいが少ない毎日を、自分で組んでいたのだと思います。

行動が先か、体が先か

わたしはいつも、脳が主で、体は従う側、というお話をしています。

脳にエネルギーが届いていなければ、どんなに心がけても、行動はついてこない。

それは今も変わりません。

でも、母の話を聞いていて思ったのは、これは一方通行ではないのだな、ということでした。

エネルギーがあるから、朝5時前に起きて体を動かせる。

体を動かして、リズムがあるから、毎日のエネルギーの使い方が安定する。

安定するから、また次の朝も起きられる。

ぐるぐると、行ったり来たり。

健全な行動の上に、健全な肉体がある。

そして、その体の上に、「こんなに幸せでいいのかしらね」と言える心がある。

滝と、おにぎり

その電話のあとは、家族で1時間半ほど歩いて、近くの滝まで行きました。

着いたら、みんなでおにぎり。

子どもたちが握ってくれたおにぎりでした。

こんなに近くで、自然に囲まれて、本当に気持ちがいいね〜と、みんなで大笑いしながら過ごした一日でした。

あなたの毎日の中で、考えなくても体が動いてくれる「日課」は、何ですか?


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頑張るほど動けなくなるのはなぜ?体の「ブレーキ」を外すのはムチではなく、代謝という潤滑油

「もっと頑張らなきゃ」
「もっと生産的に動かなきゃ」

そう思ってアクセルをグッと踏み込んでいるのに、なぜか車(体)が重くて、ちっとも前に進まない……。

そんな風に感じること、ありませんか?

もしあなたが今、そんな「停滞感」の中にいるとしたら。

それはあなたが「怠けている」からでも、「根性が足りない」からでもありません。

あなたの体が、あなたを守るために「ブレーキ」をかけているだけかもしれないんです。

1. なぜ、アクセルを踏むほど疲れるのか?

私たちはついつい、「動けないのは気合が足りないからだ」と自分にムチを打ってしまいがちです。

でも、生化学的な視点で見ると、全く違う景色が見えてきます。

体が「低代謝(省エネモード)」になっているとき、それは細胞が「今は燃料が足りないから、大きな活動は禁止!」と強力なブレーキをかけている状態なんです。

エンジンオイルが切れて、金属同士がキリキリと擦れ合っている車を想像してみてください。

そんな状態で、もっと速度を出そうとアクセルを力いっぱい踏んだら……どうなるでしょうか?

火花が散って、最後にはエンジンそのものが焼き付いて壊れてしまいますよね。

体も同じです。エネルギー(ATP)が足りない状態で無理に頑張ろうとすると、脳と体は「これ以上は危険だ!」と判断して、さらに強いブレーキ(強制終了)をかけてくる。

これが、頑張れば頑張るほど動けなくなるパターンの正体です。

2. ストレスホルモンという名の「無理やり加速装置」

でも、私たちは「本当は動けないはずの体」を、無理やり動かす方法を知っています。

それが、カフェインだったり、強い意志の力(=アドレナリンやコルチゾール)だったりします。

これは、壊れかけのエンジンにニトロをぶち込んで、一時的に爆速で走らせるようなもの。

その時は動けるかもしれません。でも、その代償として細胞のダメージはさらに深まり、ブレーキはもっと重く、深くかかるようになってしまいます。

気づいた時には、「何をしても楽しくない」「朝、起き上がるのがやっと」という状態になってしまうこともあるんです。

3. 必要なのは「ムチ」ではなく「潤滑油」

もし今、あなたが「頑張りたいのに、頑張れない」というブレーキを感じているのなら。

今必要なのは、アクセルをさらに踏み込むことではありません。

キリキリと音を立てている細胞たちに、たっぷりの「潤滑油」を注いであげること。

その潤滑油とは、ズバリ「代謝(エネルギー代謝)」です。

・脳が安心して働けるだけの、十分な糖(グルコース)
・甲状腺をサポートして、細胞の火を消さない環境
・「今は安全だよ、動いても大丈夫だよ」という脳へのサイン

これらが整ってくると、あんなに重かったブレーキが、スルスルと自然に外れていきます。

頑張らなきゃ!と踏ん張らなくても、気がついたら軽やかに動き出している。
そんな感覚です。

無理に走ろうとするのを、一度お休みしてみませんか?

「どうして私はできないんだろう」と自分を責める代わりに、
「私のブレーキはどこにあるのかな? 何を欲しがっているのかな?」
と、自分の細胞たちの声に耳を傾けてみてください。

潤滑油さえ満ちれば、あなたはまた、本来の輝きを持って勝手に走り出しますから。

「頑張る」の定義が、我慢することから「自分を満たすこと」に変わる。
そんな視点で、今日の自分を労ってあげてくださいね。

代謝高く、軽やかな一日を。


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時間の「余裕」が生まれる気づき。一番大事なことを先に置き、糖を補給しながら集中する

これは、やっと朝晩涼しくなってきたかな〜と思ったけど日中はまだバリバリ暑い長崎で、ワンオペ期間を終えた時の話です。

その時は長かった〜2週間半のワンオペ期間でした。

そういうワンオペ期間は時間の余裕がどうしてもなくなってしまい、
気持ちの余裕もなくなってしまいがちだったのですが、
その時はちょっと違いました!

「やること沢山で時間に追われる」って誰しも抱えている事かもしれないので、
ここでは私の新しいチャレンジをシェアしたいと思います。(大丈夫!プロメタ的視点も入れてますから!)

「今日もできなかった」のループ

さて、
「気づいたら一日が終わってた」
「今日、なんだかんだいそがしかったけど、でも、なんか何もしてない気がする…」

あなたはそんな時ってありませんか?

私もその少し前まで、時間に追われてばかりでした。

ToDoリストはどんどんたまるし、
やらなきゃな、やりたいなーってことがあるのに、簡単なタスク、やりやすいタスク、急を要するタスクからやっていて、
とっても大切なはずなのに、期限がない、まだ先なタスクにはなぜか手がつかなくて、、、、

それで、ああ、また今日もできなかったなあ、、、って自己嫌悪
そして、期限ギリギリになってやる…というループ。

世界中の人が集まるオンライン勉強部屋

でも、ある日、あるグループに参加したのです。それは、zoomで世界中の人が集まるオンラインの勉強部屋。

ほら、受験期に【図書館にこもると集中できる】というあの原理です。

そのオンライン勉強部屋への参加はzoom の顔出しが必須で、その中でリードする人がいて、
最初の5分と最後の5分に声掛けをしてくれて、深呼吸とかストレッチを促してくれます。1セッションは1時間だけど前後5分ずつが、そのリフレッシュタイムなので、実質集中し続けるのは50分。

その50分に各自が各自の勉強&仕事をするのです。
そう、zoomでつながったまま。

初めてその勉強グループに参加した時、そのリーダーさんが言いました。

「この1セッションでは、自分の中での最も大きなプロジェクトをやってください。急を要することではなく、大事なこと、いちばん大事なことです。」と。

そして、そのオンライン勉強部屋に何度か参加してみて、いつもの自分の時間の使い方だと到底終わっていないことがサクサク終わることに気がついたのです。

そして、いつもの自分がやれる量よりももっと多くの仕事量をこなせているけど、なんだろ、疲れていない、というか、充実感でやる気が逆にみなぎる、というか…

「この1時間、どこにフォーカスしてエネルギーを使うのか」

それを始めるときにしっかり決めておくこと、他のことは一切しないと決めておくこと、がめちゃくちゃ大事だってこの体験を通して学びました。

やることはいくらでもある。
でも、全部にフォーカスすると、結局、どこにも本気で向き合えない。

ちょっとやってると、携帯の通知音がなり、携帯をなんとなく手に取り、そこで目に入ったものから次のことに流れる。

ADHD気味な私は、よっぽど期限やばい!って追われていない状態だったら、そんな事しょちゅう。

やりたいこと「全部」やるって、
一見ポジティブに聞こえるけど、
集中力やエネルギーって有限だから、
分散すればするほど中途半端になってしまうんですよね。

そして、分散からもとに戻すのにエネルギーを使う。
一個のことから次のことに意識が向かうので集中力のロスが生まれる。
だからやってるつもりでも思ったほどはかどらなかったりする。

そんな状況だったのだなあ、って思います。

大きなボールを先に瓶に入れる

そこから私は、まず今日1日で「一番フォーカスしたいこと」を選ぶようにしました。

例えば、「今日は午前中は講座作りに専念しよう」と決めたら、携帯の通知をオフにします。

そして、50分をワンセッションとして、集中タイムをとります。

なぜ50分か、というと、繰り返しになりますが、最初5分と最後5分が体をストレッチしたり、甘いコーヒー淹れに行ったりの時間になるから。

そして、カウントダウンして集中タイムに突入する、と言った感じです。

その集中タイムを2セッションくらい取ると、その後、休憩が1時間くらい。

その時に、返すメールや雑用的なことや、事務の方への連絡とか、とか、とか、とか、を終わらせます。

そうやって、一番やるべき重要なこと、例えば、私の場合「講座生のカウンセリングの資料作成」だったり、「次のレクチャーのスライド作り」だったりするのだけど、
そういう大事なことに集中する時間を【最初】にとると、『小さな雑務・仕事』がその隙間に入る事ができるのだ、と気がついたのです。

で、気がついたら、1時に次の集中セッションを始める時には、『メインのやるべきこと』+『雑務が終わっていること』になるのです。

それってすごくないですか?

結構、小さな事、雑務を先にやってしまっていると、大きな(自分の中で時間がかかると思っている)案件は後回しになり、雑務が終わった時点で「ああ、今日はもう時間切れだわ〜涙」ってなってるパターンってすっごく多いって思いませんか?

時間は連続なのだけど、自分の中で大きく重要なタスクをする時間を先に押さえることが時間の余裕が生まれる秘訣だと思います。

そういえば!!

今思い出したのですが、ずっと昔に、タイムマネージメントのレクチャーを聞いたことがあって、瓶に大きなボールと小さなビー玉を詰めましょう!って体験をしたことがあったのでした。

これを書きながら思い出しました。笑

瓶の中に入るボールとビー玉の総量は、大きなボールを先に詰めたほうが多く入るのです。

ああ、あの時習っていたのに、こうやって何年も経ってから、やっと理解するに至ったんだなあ、って思います。

私はそうやって、エネルギーの使い方を「選ぶ」ようになってから、
驚くほど時間に余裕を感じられるようになりました。

終わってないなあ〜って心を重く占めることって大型の仕事なのです。

クライアントさんが実際にいらっしゃる、などのその時間が絶対取ってある仕事には、気持ちが持っていかれているってことはまったくないのですもんね。

集中力の要は「糖の補給」

そして、思っていた以上に集中力って、『糖の補給』が要だってこともますます実感しています✨

これはもう、私がいつも口を酸っぱくして言っている事ですね。

『集中モード』として外の環境をいくら整えても、脳がエネルギー不足だったら集中というエネルギーがまったく続きません。

だから、集中の1セッションの時には『必ず』糖を補給できる飲み物をおいてから、深呼吸して始めます。

時間がなくて焦ることの多かった私が、
今では「時間、たっぷりあるなあ…」って
深呼吸できるような感覚の日も増えて、
その感覚がすごく「豊かだなあ」と感じています。

ちなみに、なぜこれで“時間の余裕”が生まれるのか、プロメタ視点をいれると、

・糖が足りない→ストレスホルモンで無理やり覚醒→疲労と決断力低下→より雑務に流れる
・先に“最重要”へ集中+糖の安定補給→決めていることに集中し、他をしないと決めることで意志力を節約しつつ実行機能が最大化→結果、雑務は“隙間”で片付く

意志力を使うって本当に大いにエネルギーを浪費します。

だから、あのスティーブ・ジョブズも毎日同じデザインの服を着ていたって言いますよね。
それは迷う、決めると言う意志力をムダ遣いしないため。

糖をしっかり入れても、いろいろなことに迷っている状態だったら、エネルギーのムダ遣いしている状態なので、効率が悪いです。

【糖をいれる+これをやるって決める】

このセットがとっても大事だと思います。

あ、ちなみに、そのオンライン勉強部屋、最後にブレイクルームに入って、何人かの方とお互いにこの1時間どうだったかをシェアし合うことも含まれていました。

ほんの一言ずつどうだったかシェアして、元のメインルームに戻るという流れ。

わたしが日本から参加するタイミングでは白人の方も少しいるけどインド系の方も多くって、あれ、インドと日本ってあんまり時差がないのかしら…と後で調べてみたり。笑 (時差はたったの3時間半でした!)

本当にオンラインの恩恵を受けている時代だなあって、なんだか、しみじみありがたいと思った出来事でした。

そうやってゆるーく緊張感が続くことも、図書館効果として優秀なのかも知れませんね。

たった1つのことに心から集中すると決める。
そして、集中する時には糖を補給しながら。

それだけで、人生の質ってこんなに変わるんだーーー!!!
って、ちょっと感動だったのでシェアしてみました。

このシェアがなにか参考になれば嬉しいです!

あなたは今日、どこにエネルギー注ぐと決めますか?


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「ありがとう」を返せる脳には、余力がある|子どもの脳は大人の約2倍の糖を使って心を育てている

一番下の娘が、8歳になった日のことです。

誕生日のリクエストは、「放課後に、ママと2人でデートしたい」。学校が終わってから、2人でアイスを食べに行きました。

夜は家族でごはん。流したのは、わたしがすっごく頑張って作った、この子の成長記録の動画です。生まれてからの記録を詰め込んだら、11時間半の超大作になりました。

中1の姉が作ってくれたケーキを食べて、夫が用意してくれていたプレゼントを渡して。

子どもは誕生日をものすごく楽しみにしているので、その期待に応えるのは毎年なかなか大変です。それでも、応えるべく頑張った一日でした。

その夜遅く、「もう寝るよ」と声をかけると、誕生日だった娘がテーブルで何かを一生懸命書いていました。

翌朝、テーブルの上に、お手紙が置いてありました。

パパ、ママ、お姉ちゃんたち一人ひとりの名前。

本当にありがとう。みんな大好きだよ。誕生日会、うれしかったよ。

誰かに「お礼を書きなさい」と言われたわけではありません。

うれしい気持ちの中で、それを感謝として、手紙で返そうとした。

できることが増えるのとは別に、わたしは「心が育っているかどうか」を、すごく気にしています。だからこそ、ああ、心が育ってきたんだな〜と、とても素敵な気持ちになった朝でした。

この記事では、この「心が育つ」ということを、少しだけ脳の側から見てみます。

8歳の脳は、大人よりずっと多くの糖を使っている

子どもの脳が、どれくらい燃料を使っているのか。

1987年、UCLAのChugani博士らは、PET検査(ブドウ糖に目印をつけて、脳のどこでどれだけ使われているかを写す検査)で、生後5日から15歳までの子ども29人の脳を調べました(Annals of Neurology)。

分かったのは、こういう時間の流れです。

生まれたときの脳のブドウ糖の使い方は、灰白質で100gあたり毎分13〜25マイクロモルと、低い。

それが2歳で、大人と同じ19〜33に追いつきます。

そこで止まらずに上がり続け、3〜4歳で、多くの領域が49〜65に達する。大人のおよそ2倍です。

そしてこの高さが、だいたい9歳ごろまで続きます。

大人の値に戻ってくるのは、10代の後半になってからです。

つまり8歳だった娘の脳は、まだこの高原の上にいた。わたしの脳のおよそ2倍のペースで、糖を使いながら毎日を過ごしていた、ということになります。

体の成長を後回しにしてまで、脳に回している

2014年には、Kuzawa博士らがこのPETのデータとMRIのデータを組み合わせて、脳のブドウ糖の需要を、体全体のエネルギーと比べました(PNAS)。

脳の需要がいちばん大きいのは、脳の割合が最大の「生まれたとき」ではありませんでした。

ピークは、子ども時代。

安静時に体が使うエネルギーに対して、脳のブドウ糖の取り込みは、男の子で66.3%、女の子で65.0%にあたる量でした。

そして、脳の需要がいちばん高い時期と、体重の増え方がいちばんゆっくりな時期が、重なっていた。

脳の代謝が落ち着いてくるにつれて、思春期までのあいだ、今度は体の成長が速くなっていく。

著者たちは、人間の子ども時代の成長がこれほどゆっくりなのは、発達中の脳にかかる燃料の高さを、体の成長を緩めることで埋め合わせているからだ、という考えを支持する結果だとまとめています。

体は、脳に燃料を譲っているのですね。

では、そんなに何に使っているのか

Chugani博士らは、この高い代謝の時期が、発達中の脳で神経細胞やシナプス(神経のつなぎ目)、樹状突起のとげをいったん多めに作り、そのあと余分なものを刈り込んでいく過程の時期と、ぴったり重なっていると指摘しています。

作って、試して、残すものを選ぶ。

子どもの脳は、その工事の真っ最中です。

うれしいを感じる。それが誰のおかげかに気づく。相手の顔を思い浮かべる。言葉を選ぶ。明日の朝に読んでもらうことを考えて、今夜のうちに書いておく。

8歳の子にとって、これはまだ出来上がっていない回路を、何本も同時に使う仕事です。

感謝は、余力のある脳から出てくる

ここからは、わたしの読みです。

以前『マイルドな我慢は、脳の家計簿にどう載るのか』で、脳は予算が足りないとき、結果がすぐに出ないものから削っていく、と書きました。

修復。維持。成長。そして、好奇心や遊び心、「やってみようかな」と思う心の余白。

「してもらったことに気づいて、相手に返す」も、この列に並ぶものだと思うのです。

今日を生き延びるためには、必須ではない。

だから、燃料が足りない脳では、真っ先に後回しにされる。

Dr. Stephensの枠組みでいえば、脳に届く燃料が少ないと、脳はまわりを「危ない」と読み続けます。危ないと読んでいるあいだ、脳の関心は自分を守ることに向いている。

相手のほうを向けるのは、「自分は大丈夫」と感じられているときです。

誕生日の一日は、この子にとって、自分が大切にされていることを浴びる一日だったはずです。

ママを独り占めしたアイスの時間。自分だけの動画。お姉ちゃんのケーキ。

満たされて、安心して、そのうえで、あふれた分を「ありがとう」にして返してきた。

わたしには、あのお手紙が、そういうふうに見えました。

大人の「ありがとう」も、同じ燃料で動いている

大人に置き換えると、思い当たることがあります。

疲れ切っている日は、家族が何かしてくれても、気づかない。気づいても、口に出す前に次の用事に追われている。

そういう自分を見て、「わたしって、感謝の足りない人間なのかしら」と思ってしまう。

でもそれは、性格の欠陥というより、その日の脳の予算の状態かもしれません。

脳は、心の仕事と体の仕事を区別しません。気づく、思いやる、言葉にする、も、ちゃんと燃料を使う仕事です。

子どもの脳が、体の成長を後回しにしてまで燃料を集めて心を育てているように、大人の心の余裕にも、燃料が要る。

「ありがとう」が自然に出てくる日が増えてきたら、それは脳に余力が戻ってきている、ひとつのしるしなのだと思います。


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うつ病は「ウイルスのせい」なのか? ヘルペスウイルスのたんぱく質SITH-1を、脳のエネルギーから読み直す

2020年、うつ病とヘルペスウイルスの関係を示した研究が、話題になりました。

東京慈恵会医科大学ウイルス学講座の近藤一博先生のグループが、科学誌『iScience』に発表した論文です。

タイトルを訳すと、「ヒトヘルペスウイルス6Bは、潜伏感染のあいだに視床下部-下垂体-副腎系を活性化し、うつ病のリスクを大きく高める」。

「うつ病の原因はウイルスだった」という受け取られ方をされることが多い研究ですが、論文を読み込んでいくと、プロメタボリックの立場からは、少し違う読み方ができると感じています。

この記事では、研究が示したことを順に追いながら、それを脳のエネルギーの側から読み直してみます。

HHV-6は、ほとんどの人がすでに持っているウイルス

主役は、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)です。A型とB型があり、この研究で扱っているのはB型(HHV-6B)。

HHV-6Bは、赤ちゃんの「突発性発疹」を起こすウイルスです。ほとんどの人が、乳幼児期のうちに感染しています。

ヘルペスウイルスの仲間に共通する性質として、一度感染すると、体から出ていきません。

症状が治まったあとも、細胞の中で静かに居続ける。これを潜伏感染と言います。

潜伏しているウイルスは、宿主の状態によって、ときどき再び活性化します。

近藤先生のグループは、以前から、この再活性化と「疲労」の関係を調べてきました。

2016年の論文では、唾液の中に出てくるHHV-6とHHV-7が、疲労のバイオマーカーになることを報告しています。疲れがたまると、潜伏していたウイルスが唾液に出てくる、ということです。

iScienceの論文でも、過重労働で唾液中のHHV-6Bが増えることに触れています。

唾液に出てきたウイルスは、鼻の奥から嗅覚の経路に入り、においを感じる脳の入り口である嗅球にたどり着きます。

そして、嗅球のアストロサイトに潜伏する。

アストロサイトは、神経細胞のまわりにいて、神経細胞に栄養を渡したり、環境を整えたりしている細胞です。脳のエネルギー代謝を支える、裏方の中心的な存在でもあります。

SITH-1というたんぱく質

研究チームが見つけたのは、HHV-6Bが潜伏しているあいだにだけ作られる、SITH-1というたんぱく質でした。

アミノ酸159個の小さなたんぱく質で、ウイルスが盛んに増えているときではなく、静かに潜んでいるときに、アストロサイトの中で作られます。

このSITH-1は、細胞にもともとあるCAML(カルシウム調節リガンド)というたんぱく質と結合します。

結合してできた複合体は、細胞の外にあるカルシウムを、細胞の中へ流れ込ませる。

研究チームは、マウスの嗅球のアストロサイトにSITH-1を作らせる実験を行いました。

すると、

嗅球で、細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)が増えた。
視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)が過剰に活性化した。
海馬で、新しい神経細胞の生まれ方が落ちた。
そして、うつのような行動が現れた。

HPA軸というのは、ストレスを受けたときに、視床下部から下垂体、下垂体から副腎へと指令が伝わって、コルチゾール(マウスではコルチコステロン)が出る流れのことです。

この実験では、その出発点にあたるCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)などの遺伝子の発現が上がっていました。

人での結果

人については、SITH-1とCAMLの複合体に対する抗体を、血液で調べています。

抗体を持っている人の割合は、うつ病の方で79.8%、健康な方で24.4%。

オッズ比は12.2で、ウイルスと病気の関連としては、かなり強い数字です。

一方で、論文自体が限界も書いています。

SITH-1はHHV-6Bでだけ見つかり、HHV-6AやHHV-7では検出されなかったこと。

人では、脳の中のSITH-1を直接見たのではなく、血液中の抗体で調べていること。

つまり、人について言えるのは「うつ病の方では、この抗体を持っている人がずっと多い」というところまでで、SITH-1が人のうつ病を起こしている、と確定したわけではありません。

健康な人の4人に1人も、抗体を持っていた

この研究を読んで、私がいちばん立ち止まったのは、実は健康な方の数字のほうでした。

健康な方でも、4人に1人は、SITH-1に対する抗体を持っていた。

抗体があるということは、その人の体でも、SITH-1が作られた時期があったと考えられます。

HHV-6Bは、ほとんどの人が持っている。
SITH-1が作られていた人も、健康な人の中にいる。
それでも、うつになる人と、ならない人がいる。

分かれ目は、ウイルスの側だけでは説明がつきません。

ウイルスを抱えている脳の側が、どういう状態にあるのか。そこに目を向ける価値があると思うのです。

カルシウムは、エネルギーの足りない細胞に入ってくる

ここで、SITH-1が何をしているかを、もう一度見てみます。

SITH-1の仕事は、細胞の中にカルシウムを流し込むことでした。

Ray Peat博士は、細胞の中と外のイオンの分布を、細胞のエネルギー状態そのものの表れとして見ていました。

マグネシウムとカリウムは、主に細胞の中にいるもの。ナトリウムとカルシウムは、主に細胞の外にいるもの。

そして、細胞が興奮したり、ストレスを受けたり、エネルギーを失ったりすると、マグネシウムとカリウムを失い、代わりにナトリウムとカルシウムを取り込む、と。

エネルギーが満ちている細胞は、カルシウムを外に置いておくことができます。

エネルギーが足りない細胞では、それが保てない。

Peat博士はさらに、細胞の中のカルシウムが増えると、脂肪を分解する酵素(ホスホリパーゼ)が働いて遊離脂肪酸が生まれ、興奮とたんぱく質の分解が進む、とも書いています。

炎症が細胞のカルシウムの取り込みを増やし、それがうつ病や変性疾患の一因になる、という記述もあります。

この視点に立つと、SITH-1は「カルシウムを細胞に流し込む」という、エネルギーの足りない細胞で起きていることを、外から押し進める一押しに見えてきます。

同じ一押しでも、エネルギーに余裕のある細胞なら持ちこたえられる。

底をつきかけている細胞では、それが最後の一押しになる。

ここは、論文が示したことではなく、私の読み方です。

ウイルスのたんぱく質と、ストレスホルモンと、ATP

この読み方を支えてくれる研究を、Peat博士が紹介しています。

1998年、ストレスと脳の研究で知られるRobert Sapolsky博士のグループが『Journal of Neurochemistry』に発表したものです。

扱っているのはHIVのgp120というたんぱく質で、SITH-1とは別のウイルスの話です。

gp120は神経細胞を傷つけることが知られていますが、そこにストレスホルモン(グルココルチコイド)が加わると、ダメージがさらに大きくなる。

このとき、海馬の神経細胞では、ATPの量が下がり、ミトコンドリアの膜電位も落ちていました。

そして、神経細胞にエネルギーの材料を補うと、ストレスホルモンが神経細胞の生存とカルシウムの動きへの悪影響を強める作用が、止まった。

論文では、その理由の一つとして、ストレスホルモンが海馬の神経細胞への糖の取り込みを落とすことが挙げられています。

Peat博士は、この研究について、ウイルスのペプチドは興奮毒性を強めているだけだ、という趣旨のことを書いています。

ウイルスのたんぱく質が、それ単独で細胞を壊しているのではなく、エネルギーの足りない細胞で起きる「興奮しすぎによる細胞死」を後押ししている、という見方です。

ここにも、カルシウムと、ATPと、ストレスホルモンが、同じ場面に並んで出てきます。

入り口は疲れ、出口はストレスホルモン

SITH-1の流れを、入り口と出口で見てみます。

入り口は、疲れでした。

潜伏しているHHV-6が唾液に出てくるのは、疲れがたまったとき。

出口は、HPA軸の過剰な活性化、つまりストレスホルモンが出続ける状態です。

以前の記事で、脳と血液のあいだにある関所の話を書きました。

ストレスで交感神経が働くたびに、関所を通る糖の流れが絞られる。脳に届く糖が少ないと、脳はそれだけで「危ない」と感じ、交感神経がまた働く。

コルチゾールは、脳が自分を守るために鳴らす非常ベルです。

ところが、そのコルチゾールが、脳の神経細胞への糖の取り込みをさらに落としてしまう。Sapolsky博士のグループが指摘していたのも、まさにこの点でした。

並べると、こうなります。

疲れがたまって、潜伏していたウイルスが目を覚ます。
嗅球のアストロサイトで、SITH-1がカルシウムを流し込む。
HPA軸が入りっぱなしになり、コルチゾールが出続ける。
コルチゾールが脳への糖の取り込みを落とし、脳の燃料がさらに減る。
燃料の減った脳は、もっと疲れやすくなる。

輪になっているのですね。

Peat博士は『ストレスの暗黒面』という記事で、逃げられないストレスによって作られる「学習性無力感」の状態では、血中のT3(活性型の甲状腺ホルモン)が下がり、あらかじめ甲状腺ホルモンを補っておくとそれが防げた、という研究も紹介しています。

呼吸によるエネルギー産生を支える条件が、無力感や神経の変性に対して守りになる、と。

ウイルスの一手が効くかどうかは、その脳のエネルギー代謝がどういう状態にあるかと、切り離せないのだと思います。

「心の問題」でも「ウイルスの問題」でもなく

この研究が話題になったとき、ほっとした方も多かったのではないでしょうか。

やっぱり、心が弱いからではなかった。気持ちの持ちようの問題ではなかった。

一方で、ウイルスが原因なら、自分ではもうどうしようもない、と感じた方もいたと思います。

私は、この研究を「うつ病はウイルスのせい」とは読みません。

「燃料の足りない脳ほど、ウイルスの一手が効いてしまう」

そう読んでいます。

潜伏しているウイルスを体から追い出す方法は、今のところありません。

でも、ウイルスを抱えている脳に、燃料を届け続けることはできます。

疲れを根性で押し切らず、疲れたときほど、脳に燃料を入れる。

交感神経が走り続ける状態を、少しでも早く抜ける。

それは、ウイルスが目を覚ます入り口と、ストレスホルモンが出続ける出口の、両方に関わることです。

最後に、大切なことを一つ。

この記事は、マウスの実験と、血液中の抗体を比べた研究をもとにしています。SITH-1の抗体がある人が必ずうつ病になる、糖を摂ればうつ病が治る、というお話ではありません。

今、お薬を飲んでいる方は、ご自分の判断でやめず、主治医の先生と相談しながら進めてくださいね。

参考文献
Kobayashi N, et al. Human Herpesvirus 6B Greatly Increases Risk of Depression by Activating Hypothalamic-Pituitary-Adrenal Axis during Latent Phase of Infection. iScience. 2020;23(6):101187.
Aoki R, et al. Human herpesvirus 6 and 7 are biomarkers for fatigue, which distinguish between physiological fatigue and pathological fatigue. Biochem Biophys Res Commun. 2016;478(1):424-430.
Brooke SM, et al. Energy dependency of glucocorticoid exacerbation of gp120 neurotoxicity. J Neurochem. 1998;71(3):1187-1193.


この記事は、石井恵子のニュースレターでお届けした内容をもとにしています。
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